ニッケイ(肉桂)(読み)ニッケイ(英語表記)Cinnamomum loureirii; cinnamon

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ニッケイ(肉桂)」の意味・わかりやすい解説

ニッケイ(肉桂)
ニッケイ
Cinnamomum loureirii; cinnamon

クスノキ科の常緑高木。インドシナ半島原産。高さ 8mに達し,枝はよく茂る。葉は互生し卵状長楕円形で革質,光沢があり,明瞭な3脈がある。5~6月に,若枝の上部の葉腋より長い柄を伸ばし,集散花序に黄緑色の小花を多数固めてつける。花被片6枚,長さ約 5mm,12本のおしべと1本のめしべがある。果実は楕円形,長さ 1.5cmで黒く熟する。樹皮や根を乾燥したものを肉桂皮と呼び,健胃剤,発汗剤などの薬用とし,菓子,料理の香料にも使用される。いわゆる「にっき」は細根をそのまま束ねたものである。また葉は芳香性の揮発油を含み,香水,香油,香料などの原料となる。英名シナモンは特にセイロン原産の近縁種である桂皮をさすが,このほか中国南部産のカッシア C. cassia (トンキンニッケイ) やセイロンニッケイ C. zeylanicumなど同属の数種が広い意味でニッケイと呼ばれる。日本ではニッケイは高知県,鹿児島県などで栽培される。関東地方以南の照葉樹林に普通に野生するヤブニッケイ C. japonicumも同属の植物であるが,香気は弱く利用されない。

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百科事典マイペディア 「ニッケイ(肉桂)」の意味・わかりやすい解説

ニッケイ(肉桂)【ニッケイ】

香料植物として知られるクスノキ科の常緑高木。原産地はインドシナまたは中国南部といわれ,日本の暖地でも栽培される。葉は長楕円形で明らかな3本の脈があり,芳香と辛味がある。夏に黄緑色の小花を開き,後に黒色の果実を結ぶ。根,樹皮を乾燥したものを桂皮代用として薬用,香味料とする。駄菓子ニッキもこれである。また葉,樹皮,根から精油をとり,香料などとする。近縁にセイロンニッケイ,カシア(トンキンニッケイ,ケイとも)などがあり,いずれも樹皮から桂皮や香辛料シナモンをとる。
→関連項目オールスパイス香辛料

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栄養・生化学辞典 「ニッケイ(肉桂)」の解説

ニッケイ

 →シナモン

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