ニッポンマイマイ(英語表記)Satsuma japonica

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ニッポンマイマイ」の意味・わかりやすい解説

ニッポンマイマイ
Satsuma japonica

軟体動物門腹足綱ナンバンマイマイ科。殻高 1.5cm,殻径 2cm。殻は円錐形で薄く,螺層は6階でふくらみは弱い。体層は大きく周縁は多少角張り,殻底はやや扁平。殻表は黄白色から淡赤褐色で,螺層では縫合に沿って,体層では周縁に細い褐色帯があり,その下に淡色帯もある。殻口の外唇は厚くなり多少開く。底唇には滑層瘤ができる。軟体部は淡褐色で黒褐色の斑点を散らす。外套膜の上にも黒褐色の不規則な斑紋をもち,殻を透かして見ることができる。生殖器官に恋矢をもたない。雌雄同体であるが,交尾によって両方の個体受精・産卵する。交尾に要する時間はマイマイ類のなかでは長く,5時間から 11時間ほどである。本州,四国東部に分布する。地方変異が多く,伊吹山付近のものは殻が大きく,周縁に強い角がありカドバリニッポンマイマイ S.j.carinataという。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ニッポンマイマイ」の意味・わかりやすい解説

ニッポンマイマイ
にっぽんまいまい / 日本蝸牛
[学] Satsuma japonica

軟体動物門腹足綱ニッポンマイマイ科の巻き貝。陸生種で、本州と四国東部の低木の林などにすむ。殻高15ミリメートル、殻径20ミリメートルに達する円錐(えんすい)形のカタツムリで、殻は淡黄色と赤褐色の2型がある。螺層(らそう)は6階で、体層の周囲に弱い角があり、その上に通常細い褐色帯を巡らす。殻口は親貝では縁が厚くなってわずかに外方へ開く。殻底の中央の臍孔(へそあな)は小さくて深い。殻の大きさや形には地方的変異があり、関東地方の基本型に対し、関西地方のものはスジイリニッポンマイマイS. j. granulosa、伊吹山(いぶきやま)付近のものは大形でカドバリニッポンマイマイS. j. carinataとよばれている。

[奥谷喬司]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

脂質異常症治療薬

血液中の脂質(トリグリセリド、コレステロールなど)濃度が基準値の範囲内にない状態(脂質異常症)に対し用いられる薬剤。スタチン(HMG-CoA還元酵素阻害薬)、PCSK9阻害薬、MTP阻害薬、レジン(陰...

脂質異常症治療薬の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android