ニュー・ライト(英語表記)New Right

翻訳|New Right

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ニュー・ライト」の意味・わかりやすい解説

ニュー・ライト
New Right

1980年代のイギリスの M.サッチャー政権およびアメリカの R.レーガン政権などが提唱した新しい右翼の原理をさす。その思想内容は国家の経済的介入主義的政策を批判して古典的な自由市場経済への回帰を訴える反面,その経済的自由を保証するための復古的な社会秩序の再建が唱えられる。サッチャリズムと呼ばれる前者の立場は,「自由経済」と「強い国家」という矛盾する2つの原理を統合するものであった。これらの思潮の特徴は道徳的寛容を求める 60年代青年層の対抗文化運動への反動として位置づけられる点にある。イギリスにおいてはビクトリア朝の価値観が,アメリカにおいては伝統的家族の価値観が再評価された。この背後には対抗文化による道徳的価値観の相対化への危機意識が控えている。とりわけアメリカにおいて,モラル・マジョリティに代表される現代のファンダメンタリズムの運動がニュー・ライトの思想と親和したことは示唆的である。また外交政策では,「強い国家」の実現のために冷戦構造におけるデタント (緊張緩和) から積極的な反共主義へと路線を変更し,同時に第三世界諸国への軍事介入も積極的に行われた。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android