ヌママムシ(読み)ぬままむし(英語表記)cottonmouth

翻訳|cottonmouth

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヌママムシ」の意味・わかりやすい解説

ヌママムシ
ぬままむし
cottonmouth
water moccasin
[学] Agkistrodon piscivorus

爬虫(はちゅう)綱有鱗(ゆうりん)目クサリヘビ科のヘビ。同科マムシ亜科に属する有毒種で、フロリダ半島を含むアメリカ合衆国南東部一帯に分布し、全長80~120センチメートル、最大1.8メートルに達する。頭部は長三角形で胴が太く尾が短い。体背面は褐色または黒褐色で、黒色の横帯が並び、上唇板が白色湖沼や緩い流れの水辺に多く、毒性が強く神経質でよくかみつくため危険である。また、同じような環境に生息する無毒のアメリカミズヘビNerodia sipedonが本種に類似するため、それと間違って手を出さないように注意が必要である。卵胎生で、多いものは一度に15頭ほど産む。餌(えさ)は魚、両生類爬虫類小鳥、小哺乳(ほにゅう)類などである。

[松井孝爾]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ヌママムシ」の意味・わかりやすい解説

ヌママムシ
Agkistrodon piscivorus; water moccasin; cottonmouth

トカゲ目クサリヘビ科。体長 50~180cm。体色には変異が多く,褐色の地に黒褐色の斑紋をもつものから,緑褐色または黒褐色でほとんど斑紋のないものまである。唇はほとんど常に黄白色で,これが「綿の口」という英名由来になっている。胴は太く,尾は短い。北アメリカ南東部の沼沢地や川にすみ,カエル,魚,小鳥などを食べる。卵胎生。

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世界大百科事典(旧版)内のヌママムシの言及

【マムシ(蝮)】より

…全長1~1.5m,台湾,中国南部,インドシナに分布し,吻端(ふんたん)に角状突起をもつ。アメリカ合衆国産ヌママムシA.piscivorus(英名water moccasin)とメキシコ産メキシコマムシA.bilineatus(英名Mexican moccasin)は全長1~1.5m,胴が太くともに危険種で,前者はとくに攻撃的。アメリカマムシA.contortrix(英名copper head)は全長1~1.2m,色彩,斑紋が美しい。…

※「ヌママムシ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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