ヌマンティアの戦(読み)ヌマンティアのたたかい

改訂新版 世界大百科事典 「ヌマンティアの戦」の意味・わかりやすい解説

ヌマンティアの戦 (ヌマンティアのたたかい)

イベリア半島北東部の要衝ヌマンティアNumantia(スペイン語ではヌマンシアNumancia)におけるケルトイベリア(セルティベロ)部族とローマ軍との攻防戦(前143-前133)。前2世紀初頭ローマ国家はイベリア半島を属州化すると,内陸部の土着民を圧迫した。そのために,ヌマンティアの人々はドウロ川上流に位置する深い峡谷の自然の要塞都市に立てこもり,総勢8000人余りで執拗な抵抗戦を繰り返したが,その様相壮絶を極めたと伝えられている。それにもかかわらず,やがてスキピオ(小)の率いる6万人のローマ軍によって鎮圧された。この戦いは,スペイン人の愛国心を鼓舞するできごととして長く記憶され,セルバンテス戯曲《ヌマンシア》を書いている。またR.アルベルティは内戦中にフランコ軍によって包囲されたマドリードを舞台にして同名の戯曲(初演1937)を書いた。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のヌマンティアの戦の言及

【ローマ】より

…こうした社会的変質はローマ軍の弱体化となって現れ,そのことはとくにスペイン戦線で深刻な形をとった。ここでは長くケルト・イベリア(ケルティベリア)族やルシタニア族の反抗に惨敗を喫し続けたが,ヌマンティアの攻略(ヌマンティアの戦。前133)をもってようやく終止符が打たれた。…

※「ヌマンティアの戦」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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