ヌルハチ(奴児哈赤)(読み)ヌルハチ(英語表記)Nurhaci

百科事典マイペディア 「ヌルハチ(奴児哈赤)」の意味・わかりやすい解説

ヌルハチ(奴児哈赤)【ヌルハチ】

中国,清朝初代の皇帝廟号太祖。姓は愛新覚羅(あいしんかくら)/(アイシンギョロ)。明代の建州女直(女直は明における女真呼称)の一首長の出身。16世紀末に挙兵し,女直諸部を平定。1616年ハーン(汗)に推戴され,後金(こうきん)国を建設。年号天命と定めた。1619年撫順関外のサルフで明軍を破り,1621年遼東を征服遼陽,次いで瀋陽に都し,八旗制度を確立し,満州文字の作成,旗地設置など清朝の基礎を樹立。国号をと改めたのはその子ホンタイジ(太宗)のときである。
→関連項目旗地太祖ドルゴン(多爾袞)北京と瀋陽の明・清王朝の皇宮群満州

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ヌルハチ(奴児哈赤)」の意味・わかりやすい解説

ヌルハチ(奴児哈赤)
ヌルハチ
Nurhaci

[生]嘉靖38(1559).ヘト・アラ
[没]天命11(1626,明の天啓6).8.11. 靉堡(瀋陽)
中国,清朝の建国者で第1代皇帝 (在位 1616~26) 。姓はアイシンギョロ (愛新覚羅)。諡は武皇帝,高皇帝。廟号は太祖。建州女直の部将タクシの子。明の万暦 11 (1583) 年に独立の兵を起し,やがて分裂していた建州五部を統一し,ヘト・アラ (赫図阿拉) を都とした。次いで海西女直の諸国を次々に滅ぼして女直を統一し,天命1 (1616) 年に汗位につき,国号を後金,年号を天命と定め,清朝を建国した。ヌルハチは当初は明朝恭順であったが,このような女直族の統一は明朝に脅威となり,対立は避けられなくなった。同4年サルフの戦いで明に大勝し,以後ヌルハチは遼東半島に進出して都を遼陽,瀋陽に遷した。同 11年に寧遠城を攻撃したが失敗し,そのときの傷がもとでやがて病没し,ヌルハチの子ホンタイジ (皇太極)がその跡を継いだ。在世中に清朝発展の基礎となった八旗制を創設し,モンゴル文字をもとに満州文字を制定した。

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