ノブドウ(読み)のぶどう

改訂新版 世界大百科事典 「ノブドウ」の意味・わかりやすい解説

ノブドウ (野葡萄)
Ampelopsis brevipedunculata (Maxim.) Trautv.

山野にごく普通にあるブドウ科の多年生つる草。茎は巻きひげで他の植物にからまって長く伸び,若いときは毛がある。葉は互生し,多くは3~5浅裂してエビヅルに似ているが,裏面に褐色のくも毛がない。花は小型,両性で,7~8月ころ,集散花序に多数つく。果実球形で淡緑白色から紫色を帯びて褐色となるが,多くはブドウタマバエ,ブドウトガリバガなどの幼虫が寄生し,虫こぶをつくる。葉が深く切れ込むものをキレハノブドウf.citrulloides (Lebas) Rehd.,毛のないものをテリハノブドウf.glabrifolia (Honda) Kitam.として区別されることがある。果実はまずくてほとんど利用されることがない。斑入り葉のニシキノブドウvar.elegans (Koch.) Baileyは中国では薬用とされることがあり,利尿解熱に効があるという。日本全土,サハリン,朝鮮,中国に分布する。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ノブドウ」の意味・わかりやすい解説

ノブドウ
のぶどう / 野葡萄
[学] Ampelopsis glandulosa (Wall.) Momiy. var. heterophylla (Thunb.) Momiy.
Ampelopsis brevipedunculata (Maxim.) Trautv. var. heterophylla (Thunb.) Hara

ブドウ科(APG分類:ブドウ科)の落葉性藤本(とうほん)(つる植物)。樹皮は皮目があり、小枝は赤褐色の粗い毛があることが多い。巻きひげは葉と対生する。葉は広卵形で3~5浅裂または深裂し、基部は心臓形、縁(へり)に突頭の鋸歯(きょし)がある。裏面は緑色、脈上のみに毛がある。夏、葉と対生する集散花序をつくり、両性の小さな淡緑色花を開く。花弁は5枚で開出し、互いに離生する。雄しべは5本、花糸は短い。雌しべは1本、細くて直立する。花盤は子房環状に巡り、全縁。果実は球形で径6~8ミリメートル、皮目があり、初め淡白色、のちに紫色から美しい青緑色に変わる。ブドウ属のものと異なり、食べられない。日本全国の山野に生え、朝鮮半島、中国にも分布する。

[籾山泰一 2019年10月18日]


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百科事典マイペディア 「ノブドウ」の意味・わかりやすい解説

ノブドウ

ブドウ科の落葉つる植物。日本全土,東アジアの山野にはえる。茎は木質。葉は長い柄があって互生し,ハート形で3〜5裂し,幅6〜10cm。7〜8月,葉と対生してつく集散花序に淡緑色の小花を開く。果実は液果で球形,ふつうタマバエやトガリバ類の幼虫が寄生した虫こぶとなり,白・紫・青色となる。食べられない。

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