ノボシビルスク(読み)のぼしびるすく(英語表記)Новосибирск/Novosibirsk

精選版 日本国語大辞典 「ノボシビルスク」の意味・読み・例文・類語

ノボシビルスク

(Novosibirsk) ロシア中部、シベリア最大の都市シベリア鉄道オビ川を渡る地点にあり、オビ川に面する大きな河港がある。一九世紀末期以来シベリア開発中心地となり、クズネツク炭田を控えた重工業都市として発展。旧称ノボニコラエフスク。一九二五年、現在名に改称。

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デジタル大辞泉 「ノボシビルスク」の意味・読み・例文・類語

ノボシビルスク(Novosibirsk/Новосибирск)

ロシア連邦ノボシビルスク州の都市。同州の州都。旧称ノボニコラエフスク。オビ川上流に位置する。19世紀末にシベリア鉄道のオビ川鉄橋建設の拠点として建設。交通の要所として発展し、シベリア最大の都市になった。機械・冶金やきん・化学などの工業が発達。また国立オペラバレエ劇場、ノボシビルスク国立美術館などがある。南方には研究学園都市アカデムゴロドクをかかえ、西シベリア開発の中心地。人口、行政区139万(2008)。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ノボシビルスク」の意味・わかりやすい解説

ノボシビルスク
のぼしびるすく
Новосибирск/Novosibirsk

ロシア連邦中部、ノボシビルスク州の州都。1925年までノボニコラエフスクНовониколаевск/Novonikolaevskと称した。西シベリア低地の南東部、シベリア鉄道がオビ川を渡る地点のオビ川両岸に位置し、都心右岸にある。人口140万2400(1999)で、シベリア最大の都市。オビ川の河港を有し、鉄道がクズネツク炭田、アルタイ地方、中央アジア方面へ分岐し、大規模な空港もある交通上の要地。主要な工業は機械製造業と冶金(やきん)業で、重工作機、水圧プレス、重電機、電熱装置類、農業機械、無線機などが生産され、製鋼業と錫(すず)コンビナートがある。化学工業(プラスチック、ワニス塗料、医薬品)、軽工業(皮革履き物と綿業との両コンビナート、縫製、建設資材)、食料品(製粉油脂と肉缶詰との両コンビナート)の工業もある。動力源としては数か所の火力発電所のほか、市の南部のオビ川にノボシビルスク水力発電所(出力40万キロワット、1959完成)がある。

 この市は学術、教育、文化の中心地でもある。とくに水力発電所の人造湖岸(市の都心から南方28キロメートル)に1957年から約10年かけてアカデムゴロドクАкадемгородок/Akademgorodokが建設され、ソ連科学アカデミー(現ロシア科学アカデミー)シベリア支部とその諸研究所(数学、物理学、化学、地質学、生物学など)、ノボシビルスク総合大学(1959)が設置された。それ以来、市はシベリア開発の学術研究と教育の中心地となった。アカデムゴロドクには学者とその家族、学生や労働者など、約4万人が居住する。

 ノボシビルスクの急激な発展の端緒は、1893年にシベリア鉄道のオビ川鉄橋の建設地点となったことで、村は1904年にはノボニコラエフスク市となり、商業地として発達。1917年12月にソビエト政権が樹立されたが、翌年5月には反革命政権にかわり、同年11月から翌19年12月までは白衛軍のコルチャーク将軍の支配下にあった。1991年ソ連解体後はロシア連邦の都市となった。

[三上正利]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ノボシビルスク」の意味・わかりやすい解説

ノボシビルスク
Novosibirsk

1925年までノボニコラエフスク Novonikolaevsk。ロシア中部,西シベリア南部,ノボシビルスク州の州都。シベリア最大の都市で,オビ川にイニャ川が合流する地点に位置する。シベリア横断鉄道のオビ川渡河点にあたり,1893年鉄橋建設とともに小村から発展しはじめた。ロシア革命後,クズバス (クズネツク炭田) への門戸にあたる地理的位置にあること,鉄道,道路,河川交通の要地であること,農業地帯の大中心地であること,水資源に恵まれていることなどの諸要因が相まって大発展をとげ,西シベリアの行政,経済,科学,文化の中心地となっている。工業部門では冶金 (鉄鋼,スズ,各種合金) ,機械 (電機,農業機械,重工作機械,冶金工業設備,電子工学用設備,建設機械) ,化学 (医学実験用製品,プラスチック) ,木材加工,食品 (油脂,食肉,製粉) ,繊維・縫製,印刷などの工業が発達し,ロシアの大工業都市の一つである。文化面での役割もまた大きく,市の上流のオビ川をせきとめて形成されたノボシビルスク人造湖の北東岸に 1958年建設された科学・学術の町アカデムゴロドクに,科学アカデミー・シベリア支部が設置されているのをはじめ,これに所属する各種研究所,ノボシビルスク大学 (1959) を含む多数の大学がある。またオペラ・バレエ劇場,人形劇場,キーロフ記念郷土博物館,美術館などの文化施設をもっている。水陸交通の要地として,河港があり,鉄道,ハイウェーが分岐するほか,空港もありロシア各地と連絡。近郊にベルツク,イスキチムなどの衛星都市があり,大都市圏を形成している。人口 147万3737(2010)。

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改訂新版 世界大百科事典 「ノボシビルスク」の意味・わかりやすい解説

ノボシビルスク
Novosibirsk

ロシア連邦中部,西シベリア低地,オビ川の両岸にまたがる河港都市で,同名州の州都。人口140万6000(2005)。1893年シベリア鉄道のオビ川鉄橋建設の際にできたアレクサンドロフスキー村にはじまり,95年にノボニコラエフスクと改称,1903年に市となり,25年に〈新シベリア〉を意味する現名に改称した。当時は典型的な商人の町で,アメリカの開拓地を思わせるものがあり,〈シフ・シカゴ(シベリアのシカゴ)〉と呼ばれた。現在では機械製作と冶金が工業生産の65%を占め,建設資材,食品,繊維,皮革製品の生産が盛んである。57年,郊外の密林の中に学術都市アカデム・ゴロドクAkademgorodokができてソ連邦科学アカデミー・シベリア支部の約30の研究所が林立し,国際的な学術研究の中心地となった。総合大学のほかに電気,鉄道,経済,医学,教育,貿易の単科大学がある。各種の劇場や印刷設備など国内最高水準のものが建てられ,ロシア連邦の学術・文化の一大中心ともなっている。理数系の英才教育機関のあることでも知られる。
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百科事典マイペディア 「ノボシビルスク」の意味・わかりやすい解説

ノボシビルスク

ロシア中南部,西シベリア,オビ川とシベリア鉄道との交点に位置する,クズバスを控えたシベリア最大の都市。同名州の州都。1895年―1925年までノボニコラエフスクと呼ばれた。機械,冶金,化学,建築資材などの工業が行われる。南方にオビ川の水力発電所(40万kW)建設に伴って形成された人造湖(1070km2)がある。1957年,郊外に学術都市アカデムゴロドクができ,国際的な学術研究の中心となった。大学(1959年創立),空港,各種の文化施設がある。1893年創設。147万人(2010)。

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