ノリッシュ(読み)のりっしゅ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ノリッシュ」の意味・わかりやすい解説

ノリッシュ
のりっしゅ
Ronald George Wreyford Norrish
(1897―1978)

イギリスの物理化学者。薬剤師の息子としてケンブリッジに生まれる。1921年ケンブリッジ大学を卒業、1924年博士号を得た。1937年ケンブリッジ大学教授となり、1965年まで務めた。大学在学中に第一次世界大戦に従軍、1919年に大学に戻る。また、第二次世界大戦では軍事研究についた。第二次世界大戦終了後、門下生ポーターとともに閃光(せんこう)によって引き起こされる光化学反応の研究に着手し、閃光光分解法を発表、化学反応において非常に寿命の短い中間生成物測定に成功した。この化学反応論の画期的業績(極短時間エネルギーパルスによる超高速化学反応の研究)によって、1967年にドイツの物理化学者アイゲン、および共同研究者のポーターとともにノーベル化学賞を受賞した。

[編集部]

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化学辞典 第2版 「ノリッシュ」の解説

ノリッシュ
ノリッシュ
Norrish, Ronald George Wreyford

イギリスの物理化学者.1915年ケンブリッジ大学に入学し,第一次世界大戦により学業が中断されたが,1921年に卒業して大学に残り,1937年教授となり,1965年に引退.多くの無機および有機化合物の光化学反応を研究し,アセトン光分解量子収量測定,水銀光増感反応における準安定励起状態の役割,カルボニル化合物の光分解の諸様式,近紫外線によるNO2蛍光測定など,光化学初期過程において基礎的重要性をもつ多くの研究業績がある.さらに1949年にはG. Porter(ポーター)とともに開発したせん光光分解法は,化学反応における短寿命分子種(遊離基,三重項励起状態など)を直接測定する手段を提供し,第二次世界大戦後の化学研究方法のめざましい発展の先駆けをなした.この業績により,1967年Porterとともにノーベル化学賞を受賞した.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ノリッシュ」の意味・わかりやすい解説

ノリッシュ
Norrish, Ronald George Wreyford

[生]1897.11.9. ケンブリッジ
[没]1978.6.7. ケンブリッジ
イギリスの物理化学者。ケンブリッジ大学卒業,学位取得後同大学講師を経て教授 (1937) 。ロイヤル・ソサエティ会員 (36) 。またファラデー協会および王立化学研究所幹事。燃焼および重合反応に関する光化学研究に従事,みずから考案した閃光放電管を用いて光分解による,きわめて寿命の短い反応中間体,遊離基の検出に大きな成果をあげた。閃光法の確立,開発に対して,G.ポーター,M.アイゲンとともに 1967年ノーベル化学賞が与えられた。

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百科事典マイペディア 「ノリッシュ」の意味・わかりやすい解説

ノリッシュ

英国の物理化学者。ケンブリッジ大学卒業。同大学教授(1937年―1965年)。短時間パルスによる平衡状態攪乱(かくらん)でもたらされる超高速化学反応の研究で,G.ポーター,M.アイゲンとともに1967年ノーベル化学賞。

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