日本大百科全書(ニッポニカ) 「ハッチ(住宅建築)」の意味・わかりやすい解説
ハッチ(住宅建築)
はっち
hatch
一般には船の甲板の昇降口をさすが、住宅建築では、間仕切の両側から物品の出し入れができるよう設けられた間口をいう。台所と食堂との間仕切に設けられた食器や料理の受け渡し口や、病院の薬受け渡し口などがある。
住宅におけるハッチは、台所と食堂の最短距離を通すことにより配膳(はいぜん)や後かたづけの合理化を目的としているが、両室を結び付け相互の空間に広がりを与えたり、台所の孤立感を和らげたりもする。上部のみを戸棚にしたり、戸棚の一部をくりぬいたり、あるいは壁面を切ったりする場合がある。また戸を閉められるようにすれば、台所と食堂をまったく独立した空間に変化させることもできる。
このほか、ハッチは、建物内の床や屋根などに設けられた人の出入りする開口部や、潜るように出入りする小さな出入口をさすこともある。
[中村 仁]