ハッチンズ(読み)はっちんず(英語表記)Robert Maynard Hutchins

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ハッチンズ」の意味・わかりやすい解説

ハッチンズ
はっちんず
Robert Maynard Hutchins
(1899―1977)

アメリカ教育者、法学者。エール大学卒業後、1927年同大学法学部長、1929年には30歳の若さでシカゴ大学総長となる。大学の一般教養課程のテキストとして120冊の古典Great Booksを選び、問答形式の教育を唱道。また、第二次世界大戦直後、世界憲法制定運動を起こす。ブリタニカ百科事典編集委員長、フォード財団理事などを歴任。世界連邦主義者としても知られる。著書には『教育と人格』(1968・笠井真男訳)などがある。

[大江正比古]

『R・M・ハッチンズ著、森田美千代訳『理想の大学』(1980・創言社)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ハッチンズ」の意味・わかりやすい解説

ハッチンズ
Hutchins, Robert Maynard

[生]1899.1.17. ニューヨークブルックリン
[没]1977.5.14. サンタバーバラ
アメリカの教育者。 1915~17年オーバーリン・カレッジ在学。第1次世界大戦中はアメリカおよびイタリア野戦病院で奉仕活動に従事。 21年エール大学卒業,25年同法学部卒業。 27年 28歳のときエール大学法学部長,29年には 30歳でシカゴ大学総長となり,45年までつとめた。 43年『ブリタニカ百科事典』の編集委員会委員長,51年フォード財団副理事長,54年「共和国基金」を創設し,理事長となった。その後民主制度研究センターを主宰。アメリカの機械的技術文明と過度に専門化した職業教育を批判し,古典を重んじる新しい教育理念と方法を提唱,実践した。世界連邦主義者としても知られる。著書"The Higher Learning in America" (1936) ,"Education for Freedom" (43) 。

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大学事典 「ハッチンズ」の解説

ハッチンズ
Robert Maynard

シカゴ大学の学長・総長を務め,大学改革やアカデミック・フリーダム擁護で活躍した。長老派牧師の子として生まれ,オベリン・カレッジを経てイェール・カレッジを卒業し,同大学ロー・スクールでLL.B. 学位を取得。在学中に法人事務局長に就任したのち,ロー・スクール教授,同部長を歴任し,学際的法学研究の推進に尽力した。1929年シカゴ大学学長に抜擢され,45年に総長となり,51年の退任まで学問の専門分化傾向を批判した。学士課程の入学・修了の早期化をはじめとして大学の知的活性化をめざす大胆な諸改革を主導し,学内外で大きな議論を巻き起こした。討議の方法として古典的名著の学習を重視したことでも知られる。1945年以降は世界憲法作成委員長,ブリタニカ編集委員長,出版の自由に関する十三人委員会代表などを歴任。1951年フォード財団副理事長に就任。その後,同財団共和国基金会長,1959年以降は同財団民主制度研究所を主宰した。主著に『The Higher Learning in America』(1936年)がある。
著者: 松浦良充

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改訂新版 世界大百科事典 「ハッチンズ」の意味・わかりやすい解説

ハッチンズ
Robert Maynard Hutchins
生没年:1899-1979

古典主義に立つアメリカの教育家。ブルックリンに生まれ,イェール大学で文学,法学を修めた後,教壇に立つかたわら,法曹界や実業界でも活躍した。シカゴ大学学長在任中に,自然,社会,人文の諸分野を包括する古典名著120冊を選んだ〈グレート・ブックスGreat Books〉による教養教育を提案し(1931),今日の大学の一般教養課程のあり方に大きな影響を与えた。トマス・アクイナスの研究から,形而上学的世界観・人間観に基づく教育論を説いたが,アメリカ教育思想上は,文化的遺産を重視する〈エッセンシャリストessentialist〉の立場に立ち,同時代のプラグマティズムや新教育に対する批判者でもあった。
執筆者:

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百科事典マイペディア 「ハッチンズ」の意味・わかりやすい解説

ハッチンズ

米国の教育家。30歳でシカゴ大学学長。真の自由人の養成をめざし,古典主義の立場から,当時の米国教育界のプラグマティズム新教育運動の流れを批判。著書《偉大なる会話》は彼の強調した一般教養の内容を示す。
→関連項目シカゴ大学

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367日誕生日大事典 「ハッチンズ」の解説

ハッチンズ

生年月日:1899年1月17日
アメリカの教育者,法学者
1977年没

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