ハナショウブ(花菖蒲)(読み)ハナショウブ

百科事典マイペディア 「ハナショウブ(花菖蒲)」の意味・わかりやすい解説

ハナショウブ(花菖蒲)【ハナショウブ】

アヤメ科多年草で,日本の代表的な初夏の園芸植物。日本各地,東アジアの山地草原に自生し,6〜7月に赤紫色の花を開くノハナショウブを栽培改良したもの。アヤメカキツバタとは剣状葉の中脈が著しく隆起している点で異なる。品種が多数作られたのは主として江戸時代以後で,江戸郊外堀切の菖蒲園で作られた江戸(東京)ハナショウブと,これから作出された花弁の幅が広く豪華な肥後(熊本)ハナショウブ,花弁が優美に垂れ下がる伊勢ハナショウブの3系統がある。いずれも野生種に比べると大輪で,花色も紫,白,淡紅,それらの絞り,覆輪があり,花型にも八重咲獅子(しし)咲等がある。このほか長井古種と呼ばれる一群があり,原種のノハナショウブの趣を残す園芸品種群として知られている。さらに,ヨーロッパ原産のキショウブとの交雑により生まれた黄色花をつける園芸品種もある。鉢植,菖蒲田で観賞栽培され,株分けでふやす。
→関連項目アイリス

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ハナショウブ(花菖蒲)」の意味・わかりやすい解説

ハナショウブ(花菖蒲)
ハナショウブ
Iris ensata var. hortensis; Japanese iris

アヤメ科の多年草。ノハナショウブ I. ensata var. spontaneaを原種として,日本で改良された園芸品種群で改良の歴史は 500年にも及ぶ。水辺などの湿ったところで栽培され,初夏に美しい花をつける。花色には紫,白,絞りなどがある。今日,各地の菖蒲園などで栽培されている品種数は数百をこえるが,改良の進んだ場所の名を取って東京ハナショウブ,伊勢ハナショウブ,熊本ハナショウブ (肥後菖蒲) などが有名である。

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