ハナノキ(花之木)(読み)ハナノキ(英語表記)Acer rubrum var. pycnanthum

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ハナノキ(花之木)」の意味・わかりやすい解説

ハナノキ(花之木)
ハナノキ
Acer rubrum var. pycnanthum

カエデ科の落葉高木。主として木曾川流域にみられ,長野,愛知,岐阜各県の山間湧水のある湿地にまれに生える。トウカエデ A. buergerianumに似て鋸歯のある葉を対生し,秋に紅葉する。葉の上面は濃緑色で,下面は白色雌雄異株で,春に葉の出る前に濃紅色ないし紅褐色の花を前年出た枝の先端に多数束生し,開花時は全株が真紅に燃えて美しい。果実は翼果で翼はほぼ直角に開く。北アメリカ東部に分布するレッドメープル A. rubrum変種とされ,日本には上記の場所にだけ産する。カエデの仲間では特異的なものであり,隔離分布をする著しい例である。

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