ハルピュイアイ(英語表記)Harpyiai

改訂新版 世界大百科事典 「ハルピュイアイ」の意味・わかりやすい解説

ハルピュイアイ
Harpyiai

ギリシア神話怪物。単数形はハルピュイアHarpyia。一般に複数形で語られる。その名は〈掠(かす)める女たち〉の意。もともと風の精であったらしく,ホメロスの叙事詩では,人間をさらっていずこへとも知れず運び去る旋風にすぎないが,のちに有翼乙女,または女の顔をもった猛禽となり,食卓を襲って食物を掠め,残りの食物も悪臭で台無しにする貪欲で汚らわしい存在と考えられた。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ハルピュイアイ」の意味・わかりやすい解説

ハルピュイアイ
Harpuiai

ギリシア神話の女怪。海ポントスの息子タウマスとオケアノスの娘エレクトラの間に生れた,旋風を人格化した存在で,数は通常2人だが,3人とされることもある。翼をもつ女,あるいは人間の女の顔をした鳥の姿に表わされ,死者の魂を鋭い爪でつかみ冥府に運ぶとみなされた。トラキアのフィネウス王の食卓を荒していたところをアルゴ船乗組員として彼のもとへ来たカライスとゼテスに追払われ,ストロファデス島に逃れたとされる。

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百科事典マイペディア 「ハルピュイアイ」の意味・わかりやすい解説

ハルピュイアイ

ギリシア神話の風の精,また女の頭をもった3羽の怪鳥。単数形ハルピュイア。人や物,食物をかすめ,食卓を汚すという。
→関連項目エレクトラ

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世界大百科事典(旧版)内のハルピュイアイの言及

【向精神薬】より

…19世紀になって多くの薬がつくられ,1850年に臭素が性欲を抑えること,翌年にはその抗癲癇(てんかん)作用が発見された。69年に抱水クロラールが睡眠薬に使われ,1903年にはバルビタールも合成された。しかし,実際に精神治療薬が現れたのは第2次大戦後である。…

※「ハルピュイアイ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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