ハンカイソウ(読み)はんかいそう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ハンカイソウ」の意味・わかりやすい解説

ハンカイソウ
はんかいそう / 樊噲草
[学] Ligularia japonica (Thunb.) Less.

キク科(APG分類:キク科)の多年草。茎は高さ0.6~1メートル。根出葉掌状に分裂し、長さ、幅ともに30センチメートル、長柄がある。6~8月、散房状花序をつくり、頭花を約10個つける。山地林下や湿草原に生え、中部地方以西の本州から九州、および朝鮮半島、中国中南部に分布する。本種とマルバダケブキとの交雑種をチョウリョウソウ(張良草、別名ダケブキ)L. x yoshizoeana (Makino) Kitam.といい、葉は掌状に浅く裂ける。まれに栽培される。ハンカイソウ、チョウリョウソウとも、中国漢代の武将である樊噲(はんかい)、張良の名を冠したものである。

[小山博滋 2022年3月23日]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ハンカイソウ」の意味・わかりやすい解説

ハンカイソウ
Ligularia japonica

キク科の大型多年草で,東海地方より西の本州と四国,九州および朝鮮半島,台湾,中国に分布する。山地のやや湿ったところに生える。茎は高さ 1mに達する。根出葉は長い柄があり,掌状に分裂し長さ 30cm内外,茎葉は3枚が互生し,葉柄の基部は茎を抱く。初夏に茎の上端に径約 10cmの大きな鮮黄色の頭状花を数花散房状に開く。舌状花は 10個前後で長さは約 6cmあり,痩果は長さ 9mmほどの長楕円体で 7mmほどの茶色冠毛がある。

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百科事典マイペディア 「ハンカイソウ」の意味・わかりやすい解説

ハンカイソウ

キク科の多年草。本州(静岡以西)〜九州,東アジアの温〜暖帯に分布し,山地のやや湿った所にはえる。茎は高さ60〜100cm,普通紫の斑点がある。根出葉は長い柄があって掌状に裂ける。7〜8月,茎頂に散房状の花序を出し,舌状花と筒状花からなる頭花を開く。頭花は黄色で,大きなものは径10cmにもなる。近縁のマルバダケブキは静岡以北の本州に多く,四国にもまれに産し,葉は腎臓形で切れ込まない。

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世界大百科事典(旧版)内のハンカイソウの言及

【メタカラコウ】より

…中国中南部から日本にかけて分布するが,九州になく,四国や中国地方,近畿地方ではまれで,中部地方以北の本州に多い。マルバダケブキの無い九州や少ない四国,中国地方と近畿地方にはハンカイソウL.japonica (Thunb.)Less.(イラスト)がある。花序は大型の散房状でマルバダケブキと同様であるが,葉は掌状に深裂している点で異なる。…

※「ハンカイソウ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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