ハンチョウ(杭州)特別市(読み)ハンチョウ(英語表記)Hangzhou

翻訳|Hangzhou

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 の解説

ハンチョウ(杭州)〔特別市〕
ハンチョウ
Hangzhou

中国華東地方,チョーチヤン(浙江)省の省都。チエンタン(銭塘)江下流と,支流のシンアン(新安)江流域を占め,ハンチョウ市区とシヤオシャン(蕭山)市ほかからなる。北東部はハンチョウ(杭州)湾に臨む平野であるが,大部分はティエンムーシャン(天目山)山脈,ロンメン(竜門)山などの丘陵性山地。平野は省の穀倉地帯の一部で,水稲ワタクワの栽培が盛んである。丘陵ではチャ(茶)が栽培され,特にロンチン(竜井)を中心とするロンチン茶は質のよいことで知られる。中心市街地は,チエンタン江の河口に近い北岸にあり,秦で銭唐県が置かれた。隋代にター(大)運河が建設されて,南の起点となり,一大商業都市として発達。唐で杭州の州治,南宋では国都となった。10世紀以後外国船の出入りも多く,マルコ・ポーロもこの地を訪れ,その繁栄ぶりを記している。シャンハイ(上海)の発達によって,貿易港としての重要性は薄れたが,ハンチョウ湾岸の農業地帯にあり,チョーカン(浙贛)鉄道とフーハン(滬杭)鉄道の接続する商工業中心地としてにぎわう。鉄鋼コンビナートを中心として,機械,化学,セメント,電機,ゴム,プラスチックなどの工業が発達した。伝統的な絹織物業を中心に,ワタ,アサ紡織も盛ん。シヤオシャン市,ユイハン(余杭)県,フーヤン(富陽)県,チエントー(建徳)県などに鉄鉱山があり,チエンタン江にはフーチュン(富春)江ダム,シンアン江ダムがあって,工業の基礎となった。市区西郊のシー(西)湖は古くから知られた景勝の地で,2011年世界遺産の文化遺産に登録された。南郊の六和塔は宋代の創建で,中国の重要文化財の一つである。人口 205万9774(2002推計),都市圏人口 300万7000(2007推計)。

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