ハンモック(読み)はんもっく(英語表記)hammock

翻訳|hammock

精選版 日本国語大辞典 「ハンモック」の意味・読み・例文・類語

ハンモック

〘名〙 (hammock) 丈夫な糸であらく編み、両端を柱や立木に吊り、寝床として用いる網。厚い布地を用いたものもある。つり床。《季・夏》
不如帰(1898‐99)〈徳富蘆花〉下「韓海の夏暑くして吊床(ハムモック)の夢結び難き夜は」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「ハンモック」の意味・読み・例文・類語

ハンモック(hammock)

丈夫なひもを網状に編み、木や柱に両端をつって用いる寝床。つり床。 夏》「―海山遠く釣りにけり/青邨

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ハンモック」の意味・わかりやすい解説

ハンモック
はんもっく
hammock

吊(つ)り寝具。綿、麻、ナイロンなどの材質で編まれたネットや布の両端を吊って用いる。南米ブラジル先住民が、ハマックという樹皮で編んだものを用いていたのが始まりといわれている。通気性、収納性が優れているため、彼らとの接触後、ヨーロッパ人は、夏期戸外や商船軍艦での寝具として広く利用するようになった。メキシコの先住民ラカンドンの樹皮性のハンモックから、布に鳥の羽の文様をあしらったパナマコロンビアのクナ人のものまで多種多様である。アマゾンのインディオの間では、宗教的世界観、儀礼などに関連して語られることが多い。男が小屋に戻ってきて、自分のハンモックの下に女の子のハンモックが下げられていたら、そのときから彼は結婚したことになるという報告があるし、コロンビア領アマゾンの先住民デサナの社会では胞衣(えな)を「布きれ」「包みもの」「殻」としてとらえることから、ハンモックに象徴的な意味をもたせている。人間の死や女性の初経初潮)の場面で登場するのは、単なる生活用具としての機能を超えていると考えるべきである。

[関 雄二]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「ハンモック」の意味・わかりやすい解説

ハンモック
hammock

植物繊維の丈夫なひもを編んで作ったつり寝具。2本の支柱の間にかけて使用する。もともとはアメリカ熱帯低地の原住民の寝具であるが,軽便,快適な用具として広く普及するにいたった。西欧に初めてハンモックが紹介されたのは,コロンブスの新大陸発見直後のことで,とくに水夫の船中での寝具としてよく用いられた。スペイン語名称のアマカhamacaは,カリブ海域のアラワク語系島民の寝具に由来する。アメリカ大陸の一部では人を運ぶ道具としても使用された。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ハンモック」の意味・わかりやすい解説

ハンモック
hammock

吊床,寝網と訳す寝具の一種。太くてじょうぶな紐を粗目に編み,立ち木や柱などに両端を吊り,人が寝られるようにしたもの。両端はやや狭く,身体の中心部をおく中央は広く編んで体が落ちないようにし,緑陰に涼を求めて立ち木に吊ったり,狭い部屋を立体的に使用するために柱につるしたりする。ブラジルの先住民が木の皮を編んでつくったのが最初といわれる。船員が船中で使用したものは麻布でつくったものが多い。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

百科事典マイペディア 「ハンモック」の意味・わかりやすい解説

ハンモック

太い糸で,両端は狭く中央を幅広に編んだつり寝具。もとはアメリカ熱帯低地の原住民の寝具。不要のとき巻いて格納し場所を取らないので,かつては船内での水夫の寝具として使用。一般用としては夏季戸外での午睡などに使われる。

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

今日のキーワード

脂質異常症治療薬

血液中の脂質(トリグリセリド、コレステロールなど)濃度が基準値の範囲内にない状態(脂質異常症)に対し用いられる薬剤。スタチン(HMG-CoA還元酵素阻害薬)、PCSK9阻害薬、MTP阻害薬、レジン(陰...

脂質異常症治療薬の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android