パフォス(英語表記)Páphos

デジタル大辞泉 「パフォス」の意味・読み・例文・類語

パフォス(Pafos)

キプロス島南西部にある古代遺跡群。美と愛の女神アフロディテ生誕の地とされる海岸近くに、紀元前1200年頃にギリシャ人が建てたアフロディテ神殿を中心とした旧パフォスが栄えた。その後一時衰退したが、ローマ人によって城砦闘技場ディオニュソスの館などが築かれ、新パフォスとして繁栄をとりもどした。新パフォスのモザイク画は有名。1980年に、世界遺産文化遺産)に登録された。

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改訂新版 世界大百科事典 「パフォス」の意味・わかりやすい解説

パフォス
Páphos

キプロス南西部,パフォス地方の都市。人口4万7198(2001)。ニコシアの南西約100km,地中海に臨む。古パフォスは現在のククリアKouklíaで,パフォスの東16kmに位置する。新パフォスはすでにローマ時代からキプロスの行政・文化の中心地として栄え,パウロがローマの知事セルギウス・パウルスをキリスト教に改宗させた地である。960年イスラム教徒の侵入で決定的破壊を被った。古代ローマ劇場,闘技場,初期ビザンティン城塞,ラテン教会遺跡が残る。ギリシア神話ではアフロディテ生誕の地とされる。
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百科事典マイペディア 「パフォス」の意味・わかりやすい解説

パフォス

キプロス島の南西部にある古都。現在のパフォスの東16kmに位置する。新石器時代にまでさかのぼる歴史をもち,前1世紀以降はローマの支配下でキプロスの主都として栄えた。前4世紀ごろの支配者の墳墓,ローマ時代の劇場や闘技場,初期ビザンティンの城塞,ラテン教会などの遺跡が残る。ギリシア神話ではアフロディテ誕生の地とされており,ミュケナイ文明時代に建造されたアフロディテの神殿跡もある。1980年,世界文化遺産に登録。

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世界遺産詳解 「パフォス」の解説

パフォス

1980年に登録されたキプロスの世界遺産(文化遺産)。首都ニコシアの南西、現在のパフォス市の東方に位置する、古代ギリシア、古代ローマ時代から東ローマ(ビザンチン)帝国時代にかけての都市遺跡である。この遺跡は、ギリシア人が建設した旧パフォス(パレオパフォス)と、ローマ人が建設した新パフォス(ネアパフォス)、その郊外の王の墓とからなる。紀元前13世紀頃、アフロディテ(ヴィーナス)神殿がギリシア人によって建設され、キプロス島外からも多くの巡礼者を集める信仰地となったが、やがて旧パフォスの西に新パフォスが建設されると、次第に衰退した。各時代を表す遺跡群と歴史的景観が評価され、世界遺産に登録された。◇英名はPaphos

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「パフォス」の意味・わかりやすい解説

パフォス
Paphos

キプロス島南西海岸にある港町。ギリシア語では Néa Páfos。同名の地方の行政中心地でもある。内陸部に古代都市パフォスがあり,現在の町はその外港であった。ミケーネ文明期にギリシアの植民者によって建てられた古代都市には,海泡から生まれたというこの地の伝説に基づき,アフロディテ (ビーナス) の神殿がある。 960年サラセン人によって破壊されたが,ローマ時代の円形劇場,城壁,波止場などの一部や,ビザンチン時代初期の城などの遺跡があり,1980年世界遺産の文化遺産に登録。人口2万 7800 (1990推計) 。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「パフォス」の意味・わかりやすい解説

パフォス
ぱふぉす
Paphos

古代ギリシアの伝説上の人物。キプロス島の南西部にあってアフロディテ崇拝で有名な都市パフォスの創建に関連するが、諸説が入り混じってはっきりしない。しかしいずれにしても、キプロスの王であり、パフォス市のアフロディテ崇拝の創始者とされるキニラスKinyrasの母あるいは父とされている。たとえば、パフォスはキプロス島のニンフで、アポロンと交わってキニラスを生んだとか、ケファロスと曙(あけぼの)の女神エオスの子がパフォスで、パフォス市を創建し、その子または孫にキニラスがいたともいう。

[伊藤照夫]

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世界大百科事典(旧版)内のパフォスの言及

【ブランデンブルク】より

…プロイセン王国の中核となったドイツの領邦(ラント)。ドイツの北東部,エルベ川の西岸からオーデル川にいたる一帯を占め,ハーフェルHavel川とシュプレー川がこの地域の主要な水路をなす。土地はあまり肥沃でなく,沼沢が多い。…

【ブランデンブルク】より

…プロイセン王国の中核となったドイツの領邦(ラント)。ドイツの北東部,エルベ川の西岸からオーデル川にいたる一帯を占め,ハーフェルHavel川とシュプレー川がこの地域の主要な水路をなす。土地はあまり肥沃でなく,沼沢が多い。…

※「パフォス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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