バイトテロ(読み)ばいとてろ

デジタル大辞泉 「バイトテロ」の意味・読み・例文・類語

バイト‐テロ

俗に、飲食店などの従業員が、いたずら・迷惑行為SNSなどで拡散すること。
[補説]多くアルバイト従業員によるもので、経営者にとってはテロ行為のように防止が困難かつ被害が甚大であることから。2013年ごろ、飲食店やコンビニエンスストアのアルバイトらによる、食材調理器具などへのいたずら・不衛生行為がSNSを通じて拡散され、社会問題化した。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

知恵蔵 「バイトテロ」の解説

バイトテロ

アルバイトなど非正規雇用の従業員が、勤務先の飲食店やコンビニエンスストアなどで、食材や調理器具などを不適切に扱って悪ふざけをする様子を撮影、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)などに投稿して「炎上」し、勤めている店舗や運営会社にイメージダウンなどの損害をもたらす行為。最初に投稿された写真や動画が削除されても、それらをコピー保存した第三者によって投稿が繰り返され、不適切な投稿がインターネット上に残ったままになるという事態も起きている。スマートフォンやSNSが普及し始めた2013年ごろから社会問題化した。
バイトテロは、「アルバイトのテロ」を表す造語。2013年、高知県にある大手コンビニエンスストアの店舗で店員がアイスケースに入った姿や、東京都のそば店で従業員が食器洗浄機冷蔵庫に寝そべる姿などが相次いでFacebookTwitterに投稿され、これらの行為を表す言葉として、「バイトテロ」が使われるようになった。東京都のそば店のケースでは、不適切な投稿をきっかけに批判が相次ぎ、そば店は営業を停止、東京地方裁判所から破産宣告を受けた。
その後は、企業側が従業員教育の強化などの対策を取ったこともあり、不適切な投稿はやや減少したが、18年以降、再び目立つようになった。写真から動画での投稿が増え、投稿先も、FacebookやTwitterから、Instagramへと移っている。運営会社などが謝罪したケースには、次のようなものがある。18年12月から19年2月にかけて、カラオケ店の厨房と思われる場所で、店員のような人物がから揚げを床にすりつける様子を撮影した動画、回転ずしチェーンの店舗で、アルバイト男性2人がまな板の上で切った魚をごみ箱に捨て、再びまな板の上に戻す様子を撮影した動画、定食チェーンの店内で従業員が商品を口に含む、ズボンを脱ぐなどの行為を映した動画などである。
企業側の対応も厳しくなっている。前述のカラオケ店の運営会社は、警察に被害届を出した。大手定食チェーンのケースでは、運営会社が該当する従業員を退職処分としたほか、全国のほとんどの店舗を一斉休業し、従業員の再教育と店舗清掃を行った。不適切な投稿をした従業員に対し、企業側が法的措置を検討しているケースもある。
また、保険会社の中には、バイトテロが起こった場合、弁護士への相談費用や謝罪広告などトラブル対応にかかる費用を補償する保険を販売する会社も出てきた。
バイトテロが多発する背景には、生産年齢人口の減少による人手不足があると言われている。人手不足でアルバイトへの教育や監視が行き届かず、アルバイトも「ふざけているつもりだった」「仲間内で盛り上がると思ってやった」といった軽はずみな気持ちで動画を投稿するケースが見られる。

(南 文枝 ライター/2019年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

知恵蔵mini 「バイトテロ」の解説

バイトテロ

飲食店や小売店で働くアルバイト店員が、食品を不衛生に扱ったり、店内の商品を使って悪ふざけを行う様子を撮影し、その写真や動画をSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)に投稿すること。当該の店舗やその運営会社はモラルや管理体制を問われ、深刻な社会的ダメージを受ける可能性があることから、アルバイト店員による「テロ行為」になぞらえられている。こうした行為を起こした店員を解雇するのみならず、刑事・民事での法的措置を検討する運営会社も現れている。

(2019-2-14)

出典 朝日新聞出版知恵蔵miniについて 情報

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