バイヨン(英語表記)baião[ポルトガル]

デジタル大辞泉 「バイヨン」の意味・読み・例文・類語

バイヨン(Bayon)

カンボジア北部、アンコールにあるヒンズー教および仏教寺院の遺跡アンコールトムの中央付近に位置する。12世紀末に建立。古代インドの世界観における須弥山を象徴化したものとされる。中央祠堂や塔の四面に彫られた観世音菩薩像が有名。のちにバイヨン様式とよばれる四面塔の先駆けとなった。1992年、アンコールの他の遺跡とともに世界遺産文化遺産)に登録された。

バイヨン(〈ポルトガル〉baião)

ブラジルのダンス音楽。二拍子で軽快なリズム特色

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精選版 日本国語大辞典 「バイヨン」の意味・読み・例文・類語

バイヨン

〘名〙 (baião) ダンス音楽の一つ。軽快なリズムの二拍子で、ブラジル北東部のセルターニア地方の民俗舞曲のリズムをもとにしたもの。第二次大戦後ヨーロッパでも流行した。

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改訂新版 世界大百科事典 「バイヨン」の意味・わかりやすい解説

バイヨン
baião[ポルトガル]

ブラジル北東部で生まれたダンス音楽。英語ではbaion。もともとは民俗音楽だが,ペルナンブコ州出身のアコーディオン奏者ルイス・ゴンザーガLuiz Gonzaga(1912-89)が,1945年以降,ダンス音楽として流行させた。50年代に入ると流行は世界的となり,52年にアメリカのパーシー・フェース楽団が吹き込んだバイヨン・リズムの《デリカードDelicado》(ブラジルの作曲家ワルジール・アゼベード作曲)がヒットし,また,バイヨンにアレンジしたブラジル北東部の民謡主題歌とするブラジル映画《野性の男O Cangaceiro》が53年のカンヌ映画祭で音楽賞を受賞した。バイヨンのリズムは2拍子で,と跳ねる感じが特徴。50年代のアメリカのポピュラー・ソングにも,ザ・ドリフターズの《ラストダンスは私にSave The Last Dance For Me》(1960)など,バイヨンのリズム感を取り入れたものはかなり多い。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「バイヨン」の意味・わかりやすい解説

バイヨン
Baillon, André

[生]1875.4.27. アントウェルペン
[没]1932.4.10. サンジェルマンアンレ
ベルギーの小説家。フランス語で書く。ジャーナリストとして数年活動したのち,1919年から小説を書きはじめた。主著『どこかの私』 Moi,quelque part (1919,1922年『木靴をはいて』 En sabotsと改題) ,『あるマリア物語』 Histoire d'une Marie (1921) ,『ゾンゾン・ペペット』 Zonzon Pépette (1923) ,『いとも単純な男』 Un homme si simple (1925) ,『オートリテ嬢の甥』 Neveu de Mlle Autorité (1930) 。

バイヨン
Bayon

カンボジアのアンコール・トムの中心部にある仏教寺院址。この建築は 13世紀の初めにジャヤバルマン7世 (在位 1181~1220頃) が建立したもので,戦勝を記念し,戦死者の霊を祀るために建立された。東西 160m,南北 140mの回廊をめぐらし,その中に複雑な平面をもつ主堂がある。この建築の屋上には,人面塔と称される四方に大きい顔を表わしている塔が林立していることで著名。この4面の塔は観音像を表わしている。建築の外側壁面に浮彫で,当時の人々の日常生活や歴史的事件が描き出してある。アンコール芸術を代表する建築の一つ。

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