バチルス(英語表記)Bacillus

精選版 日本国語大辞典 「バチルス」の意味・読み・例文・類語

バチルス

〘名〙 (Bazillus)
桿菌(かんきん)総称好気性芽胞を形成する。広義では広く細菌のことをいう。
風俗画報‐一九八号(1899)遊芸門「バチルスの如く、次第に蔓延し」
② (転じて) つきまとって害をなすもの。寄生して利を奪ったり害したりするもの。また、その人。
※自然と人生(1900)〈徳富蘆花〉自然に対する五分時「賭博淫風奢侈遊惰争利のバチルルス殆んど戸毎に侵入せんとするを思へば」

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デジタル大辞泉 「バチルス」の意味・読み・例文・類語

バチルス(〈ドイツ〉Bazillus)

細菌。特に、桿菌かんきんをいう。
バチルス科の細菌の総称。グラム陽性の桿菌。枯草菌など。バシラス。
社会などに害をなすもののたとえ。
日毎に醜行汚俗を産出する―の化身」〈魯庵社会百面相

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「バチルス」の意味・わかりやすい解説

バチルス
Bacillus

真正細菌類バチルス科の1属。細菌類中古くから知られている属で,この名をもつ菌は非常に多いが,新しい分類学的研究によって,その約 50種が認められ,ほかは他の属に所属替えされている。体は桿状,ときとして鎖状になり内生胞子を形成する。その際,細胞は直径を増すので,撥形 (ばちがた) ,楔形,紡錘形などになる。周毛をもって運動するものと,まったく運動をしないものがある。一般にグラム反応は陽性であるが,不定であったり陰性を示すものもある。蛋白質を分解してアンモニウムを生じ,炭水化物を発酵して酸を生じる。少数のものはガス発生をする。好気性で一時的には嫌気性。土壌生が多く,獣類,昆虫などに寄生するものもある。前者には馬鈴薯菌 B. megaterium枯草B. subtilisなどがあり,後者には獣類の炭疽菌 B. anthracis,マメコガネの病菌 B. lentimorbus,蜂巣腐れ病原B. larvaeなどがある。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「バチルス」の意味・わかりやすい解説

バチルス
ばちるす
bacillus

一般用語としては細菌、またはそのうちの円柱形をした桿(かん)菌をさすが、分類学的にはさらに範囲が狭く、真正細菌目バチルス科バチルス属の細菌をいう。

 バチルス属の細菌は好気性または任意嫌気性で、グラム染色反応陽性の桿菌である。嫌気的に空中窒素を固定するものや強力な脱窒作用を行うもの、バレイショ菌、枯草(こそう)菌、ウシなどの第一胃に共生する細菌、家畜の病原となる炭疽(たんそ)菌などがバチルスに含まれる。環境条件によっては、細胞内に一つの休眠胞子を形成する。空中、水中、土壌中に広く分布している。

[寺川博典]

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世界大百科事典(旧版)内のバチルスの言及

【杆菌】より

…杆菌には,細菌が連鎖状に連なった連鎖杆菌や,コリネ型菌のように,複数の細菌がくっついてV・Y・L字形や平行状の配列をとるものがいる。杆菌には胞子を形成するものとそうでないものがあり,胞子を形成する杆菌には,好気性ないし通性嫌気性であるバチルスBacillusと,嫌気性菌であるクロストリジウムClostridiumとがある。細菌【川口 啓明】。…

【バシルス】より

…土壌,水,空気,食品などに広く分布している細菌の1属。バチルスともいう。グラム陽性,好気性の杆菌。…

※「バチルス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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