バフシ川(読み)バフシがわ(英語表記)reka Vakhsh

改訂新版 世界大百科事典 「バフシ川」の意味・わかりやすい解説

バフシ[川]
Reka Vakhsh

中央アジアの大河アム・ダリヤの大きな支流で,キルギスタジキスタン両共和国にまたがる。本流の長さは524kmであるが,上流の支流を含めると800km以上になる。流域面積約3万9100km2。はじめキルギス共和国のザアライスキー・アラタウ(山脈)北斜面の氷河(標高約6600m)に発し,キジルスー川と呼ばれる。アライ河谷を西流してタジキスタン共和国に入ってスルホフ川と名を変えるが,いずれも〈赤い水〉の意で,その名称は異常に多量の固形物質(下流で4.16kg/m3に達する)が原因である。ついで左岸からオビヒンゴウ川を合わせ,バフシ川と名を変える。上~中流部では深いV字谷の峡谷をつくるが,クルガン・チュベ市以下は谷底平野の幅も20kmに達し,川は盛んに曲流・乱流を繰り返す。ついで,アフガニスタン・タジキスタン国境を東から西に流れてくるピャンジ川(少し下流でアム・ダリヤと名を変える)右岸に合流する。年平均流量は660m3/s。三つの大きなダムと水力発電所が稼働または建設中である。河水は灌漑に利用されるほか,下流約70kmは船が遡航する。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「バフシ川」の意味・わかりやすい解説

バフシ川
バフシがわ
reka Vakhsh

中央アジア,キルギス,タジキスタン両国を流れる川。全長 524km。流域面積3万 9100km2。キルギス南部,ザアライスキー山脈北斜面に源を発し,初めクイズイルス川 (キルギス語で「赤い川」の意) と呼ばれて西流するが,タジキスタンに入るとスルホブ川 (タジク語で「赤い川」の意) となり,オビヒンゴウ川が左岸より流入してのちバフシ川と呼ばれる。その後バフシ山脈,カラタウ山脈に沿って南西流し,クルガンチュベ付近まで狭い谷を流れるが,ここより下流では広い河谷を流れ,アフガニスタンとの国境に沿って西流してきたピャンジ川に注ぎ,アムダリア本流となる。バフシ川河谷では灌漑農業が発達し,綿花果樹の栽培が盛んである。下流部は航行可能で,中流部にヌレク発電所がある。

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