バラン(読み)ばらん(英語表記)Paul Alexander Baran

日本大百科全書(ニッポニカ) 「バラン」の意味・わかりやすい解説

バラン
ばらん
Paul Alexander Baran
(1910―1964)

アメリカの代表的なマルクス経済学者。ウクライナ生まれ。1920年からドイツに住み、フランクフルト大学ベルリン大学に学んだのち、1939年アメリカに渡り、ハーバード大学に学ぶ。1949年スタンフォード大学準教授、1951年から死去まで同教授。「経済余剰」という概念を使って、後進性の原因を分析し、後の「従属理論」(先進資本主義国の経済発展は、第三世界の低開発と機能的に関連していると主張する)の事実上の創始者とみなされている。主著に『成長政治経済学』(1957)、『独占資本』(1966、スウィージーとの共著、没後刊行)などがある。

[岸本重陳 2019年2月18日]

『浅野栄一・高須賀義博訳『成長の政治経済学』(1960・東洋経済新報社)』『小原敬士訳『独占資本』(1967・岩波書店)』

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改訂新版 世界大百科事典 「バラン」の意味・わかりやすい解説

バラン
Paul Alexander Baran
生没年:1909-64

ウクライナ出身のアメリカのマルクス経済学者。フランクフルトブレスラウベルリンハーバードの諸大学に学び,のちスタンフォード大学準教授,教授(1948-64)。主著《成長の経済学The Political Economy of Growth》(1957)で,潜在的な経済余剰の不生産的浪費を廃止し,社会的に合理的な計画によって潜在的経済余剰を適切に配分できるならば,貧困の悪循環を断ち切ることができるという,独自の開発理論を展開した。ほかに,P.M.スウィージーとの共著《独占資本》(1967)がある。
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デジタル大辞泉プラス 「バラン」の解説

バラン

東宝特撮映画に登場する怪獣。初登場作品『大怪獣バラン』(1958)での身長は50メートル。水陸両棲の恐竜手足にある被膜を使って空を滑空する。

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367日誕生日大事典 「バラン」の解説

バラン

生年月日:1910年12月8日
アメリカのマルクス主義経済学者
1964年没

出典 日外アソシエーツ「367日誕生日大事典」367日誕生日大事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のバランの言及

【コンピューターネットワーク】より

…このような共用によって個々のユーザーには安いコストのサービスが提供できるようになっている。 コンピューターネットワークの歴史は,1961年頃のマサチューセッツ工科大学のレオナード・クラインロックLeonard Kleinrock,あるいはアメリカ,ランド社のポール・バラン(Paul Baran)のパケット交換方式の発明から始まったといわれている。その後,世界で初めてのパケット交換方式のコンピューターネットワークARPAnet(Advanced Research Project Agency Network)がアメリカの高等研究計画局ARPAのプロジェクトで開発された。…

【堕胎】より

…いうまでもなく非合法の場合も多かったので,川柳などによまれて諷刺の対象ともなっている。薬方は水銀を主としたらしいが,民間ではホオズキの根,ヤマゴボウの根,ハランの茎,ナンテンなど主として子宮に挿入する方法や,高所から飛びおりたり階段から落ちるなど機械的な方法が用いられた。薬品には強い下剤を飲んだり薬を挿入するなどの薬物使用,さらに神仏に祈願したり呪術にたよるなど,概して他人に知られずに目的を達しようとした。…

※「バラン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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