バルサ(読み)ばるさ(英語表記)balsa

翻訳|balsa

精選版 日本国語大辞典 「バルサ」の意味・読み・例文・類語

バルサ

〘名〙 (balsa) アオギリ科の常緑高木メキシコ南部からペルーにかけて生える。高さ一五メートル、径四〇センチメートルほどに達する。葉は互生し、五~七裂する。花は黄色または灰褐色で枝先に一個ずつつく。花弁は五枚で、長さ約一〇センチメートル。果実は細長い線形。材の比重は約〇・二と軽く、浮標・救命具模型飛行機などに用いられる。

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デジタル大辞泉 「バルサ」の意味・読み・例文・類語

バルサ(〈スペイン〉balsa)

アオイ科の常緑高木。葉は五~七角形に角張る。花は大きく、花びらの長さは約15センチ、白色生長が速く、材は比重が0.2と軽いので、いかだや救命具に利用。熱帯アメリカの原産

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「バルサ」の意味・わかりやすい解説

バルサ
ばるさ
balsa
[学] Ochroma pyramidale Urb.

アオギリ科(APG分類:アオイ科)の常緑高木。中央アメリカから南アメリカ北部の熱帯地域原産。高さ30メートル、径40センチメートルになる。葉は互生し、三角状心臓形で、長さ20~30センチメートル、浅く5~7裂することもある。花は大きく、黄色から灰褐色で柄の先に一つずつ開く。花弁は5枚で長さ10~15センチメートル。果実は線形で約30センチメートル、赤みを帯びた線毛がある種子が詰まっている。成長が速く、1年間に4メートルも伸びるといわれる。材は黄みを帯びた白色で、木目(もくめ)が正しく、軟らかくて、比重は0.2以下。原産地では古くから筏(いかだ)として使われ、ペルーからポリネシアのラロイア環礁までを1947年に筏で航海したヘイエルダールコン・ティキ号も、この材でつくられた。またかつては救命用具などの浮材として使われ、さらに絶縁性を利用して防音装置などにも利用された。工作しやすく、玩具(がんぐ)などにも利用され、模型飛行機の骨材としても広く知られている。

[星川清親 2020年4月17日]

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改訂新版 世界大百科事典 「バルサ」の意味・わかりやすい解説

バルサ
balsa
Ochroma pyramidale(Cav.) Urban(=O.lagopus Swartz)

生長の早いキワタ科の樹木で,その木材は商業的に取引される世界の木材中最も軽軟なことで知られる。樹高27m,直径90cmになる常緑高木。樹皮は灰褐色で滑らか。葉は径20~40cmの心臓形で,ときに3個の角をもち,裏面には星状毛がある。花は小枝の先端付近に咲き,円筒形のつぼみかららっぱ形に開く。花弁は白色で5枚,長さ約12cmで,下半部を緑褐色の,先が5裂した萼筒に包まれる。果実は10稜のある筒形の蒴果(さくか)で,熟すと5裂開し,黄褐色の軟毛に包まれた多数の小さい種子を出す。メキシコ南部~中央アメリカ,西インド諸島,ベネズエラ~ボリビアの南アメリカ北東部に分布し,最近は東南アジアやアフリカなどでも植えられていることがある。良好な場所では4~6年で樹高20~25m,直径45~65cmになり,このころがバルサ材収穫の適期である。材の気乾比重0.10~0.26(ちなみにキリは0.20~0.40),帯褐淡黄白色で,絹状の光沢があり,つめで容易に傷がつく。軽軟で浮力に富み,断熱・遮音性にすぐれることから,救命具,模型飛行機など各種模型や玩具,漁網のうき,冷凍品の輸送用,冷凍船の内張り,遮音壁材などに用いられる。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「バルサ」の意味・わかりやすい解説

バルサ
Ochroma spp.; balsa

アオギリ科の常緑高木で,中南米の熱帯地方に産する。軽質の用材となる同属の数種の近縁種の総称。生長が速く,年に 4mも伸び,材は比重がわずかに 0.12~0.36と非常に軽い。浮標用や救命着,飛行機の部分品などの製造に用いられる。代表的な種類はメキシコからペルーにかけて産する O. lagopusと西インド諸島産の O. pyramidaleなどである。

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百科事典マイペディア 「バルサ」の意味・わかりやすい解説

バルサ

熱帯アメリカ原産のキワタ科の高木。高さ15〜30mとなる。葉は円形で3〜5裂し,径約30cm。大きな白色の花を枝先につける。果実は筒形で長さ30cm内外,種子には黄褐色を帯びた綿毛がある。材は非常に軽くて軟らかく,救命具,浮標,模型材料などとされる。

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