バーラル(英語表記)bharal
blue sheep
Pseudois nayaur

改訂新版 世界大百科事典 「バーラル」の意味・わかりやすい解説

バーラル
bharal
blue sheep
Pseudois nayaur

偶蹄目ウシ科の哺乳類。分類的にはヤギCapraヒツジOvisの中間に位置する。ヒマラヤ地域から内モンゴルにかけての高山帯に分布。体長115~165cm,尾長10~20cm,肩高75~91cm,体重25~80kg。体は野生ヒツジに似てがんじょうで,四肢は太く短い。あごひげがなく,悪臭を放たない点もヒツジに似る。しかし,角は雌雄にあり,雄のは大きく長さ82cmに達し,基部の断面がほぼ四辺形か円形である点や眼下腺を欠く点などはヤギに似る。体は密な柔毛でおおわれ,青みのある灰色,あるいは茶色をおびた灰色で,腹面と四肢の後面は白く,胸,四肢の前面,体側に黒色の帯がある。標高2500~5500mにかけての斜面や平たん部の草原に,ふつう4~20頭ほどの群れで生活し,草や地衣類を食べる。雄は交尾期以外は単独か雄どうしの群れでいることが多い。交尾期は10~12月で,雄どうしは角で闘う。妊娠期間は約160日で,ふつう1産1子を生む。寿命は飼育下で20年3ヵ月の記録がある。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「バーラル」の意味・わかりやすい解説

バーラル
ばーらる
bharal
[学] Pseudois nayaur

哺乳(ほにゅう)綱偶蹄(ぐうてい)目ウシ科の動物。ヒツジとヤギの中間タイプとみなされている種で、体長115~165センチメートル、体高75~90センチメートル、体重25~80キログラムほどに達する。チベット、ヒマラヤ地方、モンゴル、中国の四川(しせん)省、甘粛(かんしゅく)省などの山地に分布し、3亜種がある。海抜3000~5500メートルの山岳地帯に生息し、群集性があって、冬期には数百頭が集まることがある。夏期には成獣の雄は雄群をつくる。毛色は青灰色で、ブルーシープblue sheepともよばれる。雌の角(つの)はまっすぐで20センチメートルほどしかないが、雄では80センチメートルに達し、V型からS型に左右に広がる。10~11月が発情期で、5~6月の出産期に1産1子を産む。寿命12~18年。

増井光子

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内のバーラルの言及

【デーン人】より

…35年クヌットの死とともにその帝国も瓦解し,イングランドでも42年アングロ・サクソン系のエドワード懺悔王がデーン朝に代わって即位した。66年,ノルマン・コンクエストの直前,ノルウェー王ハーラル苛烈王がイングランドを攻撃して,スタンフォード・ブリッジの戦で敗死したが,これがデーン人の大規模な攻撃活動の最後であり,以後イングランドへの侵入は終息した。 以上の3世紀間にわたるデーン人の侵入が,イングランドに与えた影響は大きい。…

※「バーラル」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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