バーラーニ(読み)ばーらーに(英語表記)Robert Bárány

日本大百科全書(ニッポニカ) 「バーラーニ」の意味・わかりやすい解説

バーラーニ
ばーらーに
Robert Bárány
(1876―1936)

オーストリア医学者。ウィーンに生まれ、1900年ウィーン大学医学部を卒業。その後フランクフルトアムマインのノールデンKarl Harko von Noorden(1858―1944)の下で内科学、ついでクレペリンに精神医学を学び、1903年にはウィーン総合病院で外科を学び、ウィーン大学に戻ってオーストリアの耳科学の創設者ポリッツァーAdam Politzer(1835―1920)の助手となった。耳科学、とくに内耳系の生理・病理に関して多くの業績をあげたが、前庭器官小脳・筋肉の関連の研究から関節運動の中枢が小脳にあることを発見、また迷路の疾患により眼球振盪(しんとう)がおこることを明らかにするなどした。こうした業績により多くの栄誉を受け、1914年にはノーベル医学生理学賞を受けたが、この報をロシアの捕虜収容所で聞いた。この受賞に関して母国でおきたいわれない非難に嫌気がさし、ウィーンを去ってスウェーデンに行き、1917年ウプサラ大学教授となり、同地で没した。

[大鳥蘭三郎]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

百科事典マイペディア 「バーラーニ」の意味・わかりやすい解説

バーラーニ

オーストリア生れの医師。ウィーン大学で医学を修め,のちにスウェーデンのウプサラ大学教授。耳鼻科権威で,内耳迷路反射に基づく現象を利用した新しい診察法(バーラーニ試験)の研究で1914年ノーベル生理医学賞。

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