日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
パイル(Howard Pyle)
ぱいる
Howard Pyle
(1853―1911)
アメリカの児童文学作家。デラウェア州のクェーカー教徒の家に生まれ、教養豊かな母の影響で幼時から書物や絵画に親しんで育った。美術学校で学んだのち、挿絵入りの印象記を出版社に送ったところ、まず絵のほうが認められ、ニューヨークで挿絵画家として成功した。作家としての出発は、デラウェアに戻ったのちの1883年に出版した『ロビン・フッドのゆかいな冒険』で、以後、イギリスのフェアリー・テイルや、中世を題材にした歴史物語などを書き続けた。作品にはすべて自らの挿絵を添えることにより挿絵の重要さを世人に認識させ、同時にこの面での後進の指導にもあたった。
[掛川恭子]
『村山知義・村山亜土訳『ロビン・フッドのゆかいな冒険』(1971・岩波書店)』