パクス・ローマーナ(読み)ぱくすろーまーな

世界大百科事典(旧版)内のパクス・ローマーナの言及

【アントニヌス朝】より

…ピウス帝は先帝ネルウァ,トラヤヌス,ハドリアヌスの例にならってマルクスを養子に迎え帝位を継承させたが,マルクス帝は実子コンモドゥスを後継者に指名した。この時期には,いわゆる〈パクス・ローマーナ(ローマの平和)〉時代の最大領域を維持するために,財政・軍務への圧迫が強まり,帝国行政の諸問題が徐々に露呈してきた。【本村 凌二】。…

【平和】より


[西洋と東洋における平和観の相違]
 確かにどの文化にも平和の意味には正義,豊穣,秩序,静穏,平安のイメージが多少とも共有されている。とはいえ,一般的にいって,西洋キリスト教文明圏では正義実現のための戦いの意思(〈平和のための戦争〉)や征服によって実現された敵国に対するローマの完全支配と,もはや戦争のない状態としての秩序の維持(〈パクス・ローマーナ〉)にみられるように,平和への態度が外向的,政治的であるのに対して,東洋文明圏では逆に,憎しみをもたない心の平安といった内向的,非政治的な態度が支配的である。それは仏教におけるアヒンサーahiṃsā(〈包容力〉〈不殺生〉)に表れているし,また日本人の中世以来の民衆の平和感覚が〈現世安穏,後生善処〉(法華経)であり,よくいえば生活防衛的な,悪くいえば退行的,消極的である点にもみられよう。…

【ローマの平和】より

…ローマ時代に樹立された地中海世界の平和を〈パクス・ローマーナ〉,すなわち〈ローマの平和〉と呼ぶ。パクスとは平和を意味するギリシア語エイレネeirēnēのラテン語訳で,それを擬人化した女神エイレネは遅くも前4世紀前半にはアテナイで祭祀を受けていた。…

※「パクス・ローマーナ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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