パシャ(英語表記)paşa

精選版 日本国語大辞典 「パシャ」の意味・読み・例文・類語

パシャ

〘名〙 (paşa 元来は尊貴な者に対する敬称) オスマントルコ帝国時代、スルタン高級官僚軍司令官などにあたえた称号
※西洋旅案内(1867)〈福沢諭吉〉上「カイロといふ所に、パシャとて城代の如き者ありて」

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デジタル大辞泉 「パシャ」の意味・読み・例文・類語

パシャ(pasha)

オスマン帝国大臣や軍政官に与えられた称号。次いで1934年までは共和国の高級軍人の称号。「ケマルパシャ
[補説]元来は皇族貴族に対する敬称。

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改訂新版 世界大百科事典 「パシャ」の意味・わかりやすい解説

パシャ
paşa

トルコおよびエジプトなどオスマン帝国の支配下に置かれた地域で使われた称号。語源については,ペルシア語の〈パーディシャー(支配者)〉,トルコ語の〈バシュ・アガ(兄)〉などに由来するという説があるが定説はない。13世紀前半ころから使われ始め,ルーム・セルジューク朝やトルコ系諸侯国で,軍事的・宗教的指導者の称号として与えられた。オスマン朝では,主として,ベイレルベイ(州軍政官),首都のワジール(大臣)その他の少数の高官に与えられた称号であったが,時代が下るにつれてこの称号が与えられる範囲は拡大した。オスマン帝国の消滅とともにこの称号は失われたが,共和国時代に将軍クラスの高級軍人に対して,1934年までこの称号が許され,以後全廃された。現在,トルコ人民衆の口語として,食堂のボーイや職人に対する呼びかけの言葉としてしばしば使われている。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「パシャ」の意味・わかりやすい解説

パシャ
Paşa

トルコ,エジプト,イラクなどで使用された称号。ペルシア語のパードシャー (王) から派生したともいわれる。これは 13世紀セルジューク朝で使われはじめ,オスマン帝国時代には一部の軍人,高官に与えられ,のちに州知事,官吏の特権的称号となった。トルコ共和国成立以後,高級軍人はこの称号をもっていたが,1934年全面的に廃止された。

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百科事典マイペディア 「パシャ」の意味・わかりやすい解説

パシャ

オスマン帝国で用いられた高官に対する尊称。軍司令官,将官,地方長官に対して使ったが,特定の官職に対する呼称ではない。正式にはオスマン朝廃絶後は使用されないが,口語として残る。
→関連項目グラブ・パシャ

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「パシャ」の解説

パシャ
paşa

トルコで高官に使用される尊称。語源的には王を意味するペルシア語のパードシャー(トルコ語のパーディシャー)に由来するともいわれる。本来,高級軍人に対するものであったが,大臣級の職にも用いられた。この称号はオスマン帝国の崩壊以後は廃止された。

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旺文社世界史事典 三訂版 「パシャ」の解説

パシャ
pasha

トルコの高官の尊称
高級軍人や大臣に与えられたが,特にオスマン帝国皇帝が任命した各地の高官をさすことが多い。近代になるにつれその範囲は拡大したが,オスマン帝国の崩壊以後,1934年に全て廃止された。

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