パスカルのパラドックス(英語表記)Pascal's paradox

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「パスカルのパラドックス」の意味・わかりやすい解説

パスカルのパラドックス
Pascal's paradox

底面積と高さが等しく,注ぎ口の面積が (a) > (b) =底面積> (c) である三つの容器に,液体を十分に入れた場合,容器内の液体が底面に及ぼす全圧力は (a) の場合に液体の全質量より小さく,(b) では等しく,(c) では大きい。一見これは矛盾と思えるのでパラドックスと呼ばれる。 B.パスカルは静止液体が液内の面に及ぼす力は,面に垂直で,同じ深さの点では同じ強さの圧力であることを示し,前述の矛盾を以下のように解決した。まず,容器を横から見て底面の両端から上面に向けて垂線を引く。 (a) では鉛直線より外側の液重は斜めの器壁からの抗力 (器壁に垂直な向き) の上向き分力と釣合う。すなわち余分の液重は斜めの器壁で支えられる。また (c) では鉛直線と容器との間の空白部分の液重に相当する圧力は斜めの器壁が液に及ぼす抗力 (面に垂直) の下向き分力によって与えられる。一般に,容器内の静止液体が器の底面に及ぼす全圧力は底面積と液の深さだけで定まり,容器の形には無関係である。

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