パラサイト・シングル(読み)ぱらさいとしんぐる(英語表記)parasite singles

知恵蔵 「パラサイト・シングル」の解説

パラサイト・シングル

学卒後も親に基本的生活を依存しながらリッチに生活を送る未婚者。まるで親を宿主として寄生(パラサイト)しているように見えることから、1997年に山田昌弘(筆者)が使い始めた言葉である。親に家事を任せ、収入の大半小遣いに充てることができ、時間的・経済的に豊かな生活を送っている。また、結婚すると生活水準が下がることから、結婚への動機づけが弱まる。成人後は自立を求められる北西ヨーロッパ諸国や、米・加・豪などの諸国では見られない。日本には成人した親同居未婚者は約1200万人(2000年)おり、全員がパラサイト・シングルではないにしろ、未婚化の1つの要因になっている。近年、韓国でも親に長期的に依存する独身者の増加が報告され、カンガルー族とも呼ばれている。だが、近年、若者の雇用が不安定化し、また、かつてのパラサイト・シングルも30歳代になり、将来に不安を感じる人が増えている。親同居未婚者が必ずしも経済的に恵まれているわけではなく、パラサイト・シングル現象にも陰りが見えている。

(山田昌弘 東京学芸大学教授 / 2007年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

とっさの日本語便利帳 「パラサイト・シングル」の解説

パラサイト・シングル

社会人となっても親元で生活する独身者。パラサイトは「寄生」という意味。親元であれば、独立して一人暮らしをするよりも経済的に楽であるため、独身貴族を謳歌できる。東京学芸大学の山田昌弘助教授の著書『パラサイト・シングルの時代』で話題となったことば。

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