パリッシー(読み)ぱりっしー(英語表記)Bernard Palissy

日本大百科全書(ニッポニカ) 「パリッシー」の意味・わかりやすい解説

パリッシー
ぱりっしー
Bernard Palissy
(1510ころ―1590)

フランスの陶匠、自然科学者。フランス南西部の一寒村に屋根瓦(やねがわら)職人の子として生まれる。少年期より測量術、彫刻、ステンドグラス製法などを習得。初めはステンドグラス職人として身をたてていたが、友人に見せられた白い陶器に触発されて陶工を志し、16年間独学で研究の結果、1545年、ついにパリッシー焼といわれる「田園器物」figurine rustiqueを完成した。これは白色の器胎に実物から型取りしたヘビトカゲカエルなどの野辺の小動物や人物を高浮彫りして施釉(せゆう)したグロテスクな大皿が主で、これにより一躍名声を博した。のちアン・ド・モンモランシーAnne de Montmorency(1492―1567)将軍やカトリーヌ・ド・メディシスら王侯貴族の庇護(ひご)を受けるようになり、1567年にはチュイルリー宮に迎えられて、「国王御用田園器物始祖」の称号を与えられた。また、地質学ほかについての一連の学術講演を行い、著作に『確実な道』(1563)、『自然賞賛論』(1580)などがある。生涯、新教徒(ユグノー)であったため、1589年に投獄され、バスチーユ獄死した。

[前田正明]

『『ある陶工の話――ベルナール・パリッシーの場合』(『渡辺一夫著作集4』所収・1971・筑摩書房)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「パリッシー」の意味・わかりやすい解説

パリッシー
Palissy, Bernard

[生]1510. アジャン
[没]1589. パリ
フランスの陶工。最初はステンドグラスの絵付け職人。 1539年から十数年間製陶術と色釉を研究,自然や動植物の姿を浮彫風に配置し,鮮かな色釉をかけて豊麗な効果を出すことに成功,ラスティック・ファイアンスを作り出した。またユグノー派のプロテスタントとして投獄されたが,65年に陶芸の技術を認められ,パリのルーブル近くに住んでフランスの国王やカテリーヌ・ド・メディチのために製作。 75年以降パリで博物学の公開講義を行い,その成果を"Discours admirables"として 80年に出版した。 88年に宗教上の理由で再投獄され,バスティーユ牢獄で獄死。

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