ヒエラポリス[トルコ](英語表記)Hierapolis

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ヒエラポリス[トルコ]」の意味・わかりやすい解説

ヒエラポリス[トルコ]
Hierapolis

トルコ南西部,デニズリ県にあるフリュギアの古代都市。ラオディケア遺跡北方約 10kmに位置する。石灰棚で有名な古い温泉地としても知られる。台地斜面に沿って流れ出した温泉の石灰分によって階段状の白い石灰棚が広がり,岩肌を覆う結晶鍾乳石や氷結した滝のような景観をつくりだしている。古代から保養地として知られ,前2世紀後半,ペルガモン王国要塞が築かれてから本格的に繁栄。その後ローマの侵攻により都市は拡張され,アポロン神殿やローマ劇場,凱旋門をはじめ豪華な建物が次々に建てられ,保養都市として発達。しかし,その後たびたび襲った大地震で,建物のほとんどが倒壊し現存するものは少ない。中世に入り商業と綿紡績が盛んとなり,パムッカレ (綿の城) と呼ばれるようになった。 11世紀後半にアナトリア・セルジューク朝の侵攻により町は崩壊,さらに 1354年の大地震で廃虚となった。現在古代都市の発掘調査が行なわれている。 1988年世界遺産の文化遺産と自然遺産の複合遺産に登録。

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