ヒモハクジラ(英語表記)Mesoplodon layardii; strap-toothed whale

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ヒモハクジラ」の意味・わかりやすい解説

ヒモハクジラ
Mesoplodon layardii; strap-toothed whale

クジラ目ハクジラ亜目アカボウクジラ科オウギハクジラ属。オウギハクジラ属のなかで最大。体長は雄約 5.9m,雌約 6.2mに達する。出生体長は推定約 3m。背部と体側は紫や茶がかった灰色または黒色腹部の排泄孔周辺や尾鰭 (おびれ) の下面,咽喉部および嘴 (くちばし) は白色である。噴気孔からその前方にかけて,また咽喉部から眼の後方を通り噴気孔後方にかけて,白色の帯を有するものがいる。体型は紡錘形で,体高がある。噴気孔は1個で頭部正中線上に位置し噴気孔の前部はほとんど盛上がらない。嘴が細長く突出し,頭部は小さく丸みを帯びる。咽喉部にハの字状の溝がある。背鰭は大きく,吻端から体の後方3分の2に位置し,三角形状で先端はとがり後縁は湾曲している。尾柄部の上下にはわずかにキール (稜状の隆起) がある。下顎骨の中央に1対の歯があり,雄に限って著しく長く,上顎骨を囲むように湾曲し成長する。このため老成個体はほとんど口が開かない。3頭以上の群れをなす。イカ類を捕食する。繁殖期は春から夏。南半球の冷水域に広く連続的に分布し,これまでにアフリカ南部,オーストラリア,タスマニア島などで漂着例がある。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android