ヒュブリス(英語表記)hybris

デジタル大辞泉 「ヒュブリス」の意味・読み・例文・類語

ヒュブリス(〈ギリシャ〉hybris)

傲慢ごうまん自分を過信し、思い上がること。

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改訂新版 世界大百科事典 「ヒュブリス」の意味・わかりやすい解説

ヒュブリス
hybris

古代ギリシア倫理思想の根底をなす概念で,しばしば〈傲慢(ごうまん)〉と訳される。アイドスaidōs(〈慎しみ〉),ソフロシュネsōphrosynē(〈節制〉),メトロンmetron(〈則(のり)〉)などの反対概念。思いどおりに事が運んで繁栄極みにある人間が,幸運に酔いしれ,あるいはみずからの力を過信して,ときには神々に対してさえ示す思い上がった言動,それがヒュブリスで,こうした人間の分をわきまえぬ傲(おご)りや昂(たかぶ)りは,かならずや天罰ネメシス)を招き,人を破滅させずにはおかないものと考えられた。文学作品では神格化されて,コロスKoros(〈飽満〉)の母とも娘とも,またアテAtē(〈破滅〉)の母とされることもある。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ヒュブリス」の意味・わかりやすい解説

ヒュブリス
hybris

ギリシア語傲慢を意味する。他人権利を侵し,神々の力を侮ることで,ホメロス以来人間がこのように自己分限をこえることが神々の怒りを招くとされ,悲劇詩人,歴史家では,そこに人間の破滅の一因が求められた。

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