ヒュルゼンベック(英語表記)Richard Huelsenbeck

改訂新版 世界大百科事典 「ヒュルゼンベック」の意味・わかりやすい解説

ヒュルゼンベック
Richard Huelsenbeck
生没年:1892-1974

ドイツ出身の詩人,精神分析医。フランケナウFranckenau生れ。パリとベルリン医学を学び,表現主義文学に近づく。タムタム音楽に熱中しH.バルと知り合う。チューリヒ・ダダに参加,《空想的な祈り》(1916)などの音響詩聴衆を挑発した。1919年ベルリンに戻り,〈ベルリン・ダダ宣言〉を起草,ハウスマンらと巡回講演。20年代には船医となり,36年ニューヨークに亡命してハルベックCharles R.Hulbeckの名で精神分析医としての活動を行うかたわら,ダダの回想・記録などを著述・編纂した。スイスのロカルノ近郊で没。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ヒュルゼンベック」の意味・わかりやすい解説

ヒュルゼンベック
Huelsenbeck, Richard

[生]1892.4.23. フランケナウ
[没]1974.4.20. スイス,ミニュージオ
ドイツの小説家,詩人。 1916年チューリヒにおもむき,ダダ創始者の一人となる。 36年からニューヨークに定住。ダダに関するエッセー旅行記ほかに,小説『幸福の夢』 Der Traum vom grossen Glück (1933) ,詩集『幻想的祈り』 Phantastische Gebete (16) ,『ニューヨーク・カンタータ』 Die New Yorker Kantaten (52) などがある。

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世界大百科事典(旧版)内のヒュルゼンベックの言及

【ダダ】より

…1916年2月,逃亡兵の演出家バルと恋人の歌手エミー・ヘニングスは同地で,アルザス生れの画家アルプ,ルーマニアの詩人ツァラや画家ヤンコMarcel Janco(1895‐ )とともに〈キャバレー・ボルテールCabaret Voltaire〉を開催した。ベルリンの医者・詩人ヒュルゼンベックも加わり,小舞台と15~16卓だけのこの店で毎夜宣言,歌,騒音音楽,音声詩,同時詩,仮面舞踏などが演じられた。〈強盗どもが一斉蜂起した権力の錯乱状態のなかで,芸術も人間の衆愚化に一役買う徴候〉に対し,〈時代の狂気から人間を救い出す本源的な芸術〉(アルプ)を求めた乱痴気さわぎの中で,ダダは生まれた。…

※「ヒュルゼンベック」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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