ヒレナガゴンドウ(英語表記)Globicephala melas; long-finned pilot whale

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ヒレナガゴンドウ」の意味・わかりやすい解説

ヒレナガゴンドウ
Globicephala melas; long-finned pilot whale

クジラ目ハクジラ亜目マイルカ科マゴンドウクジラ属。体長は雄約 6.7m,雌約 5.7mに達する。雄は体重約 2tに達する。出生体長は 1.7m~1.8m。体色は全身黒褐色あるいは黒色である。胸鰭 (むなびれ) つけ根に白色あるいは灰色の錨 (いかり) 型の模様があり,南半球に生息するものは,眼上方から噴気孔前方と背鰭後方に,はっきりした鞍 (くら) 状の白色または灰色の斑がある。噴気孔は1個で頭部正中線上に位置する。頭部が球状で前頭部が張出し,嘴 (くちばし) はないが口唇をもつ。背鰭から尾柄部にかけて体幅が次第に細くなり,尾柄部は上下のキール (稜状の隆起) が著しい。背鰭は体の中央よりやや前方に位置し,幅がきわめて大きく,前縁が目立って後方へ伸び,先端は鈍く垂れ,後縁は湾曲している。胸鰭は非常に長く,体長の 18~27%に達し,中央付近で急に後方へ曲り,先端はとがる。上下顎骨に高さ約 5cm,直径約 1.5cmの円錐歯が左右8~13対並ぶ。 20~100頭の群れで行動するが,ときどき 1000頭以上の大群をなし,またほかの鯨類と混群していることが多い。世界各地に大量漂着の例がある。繁殖期は周年であるが,最盛期夏季。おもにイカ類を捕食するが,小型から中型の魚類も食べる。両半球の温帯から亜極圏海域に出現し,北大西洋の大洋域と沿岸域に分布するほか,亜南極収束線から南極圏にかけて周極分布する。グリーンランドフェロー諸島で捕獲される。北大西洋ではトロール漁業刺網で,地中海ではメカジキ流し網で混獲されることがある。

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