ヒンドゥスターニー音楽(読み)ヒンドゥスターニーオンガク

デジタル大辞泉 「ヒンドゥスターニー音楽」の意味・読み・例文・類語

ヒンドゥスターニー‐おんがく【ヒンドゥスターニー音楽】

《〈ヒンディー〉Hindūstānī Saṃgīta》インド伝統音楽の二大潮流の一つ。13世紀初頭にイスラム王朝がデリーに成立し、このころから南インドのカルナータカ音楽と、イスラム文化影響もとに発達した北インドのヒンドゥスターニー音楽とに分かれる。→カルナータカ音楽

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百科事典マイペディア 「ヒンドゥスターニー音楽」の意味・わかりやすい解説

ヒンドゥスターニー音楽【ヒンドゥスターニーおんがく】

北インドの古典音楽。12世紀に北部にイスラーム宮廷が出現したことにより,インドの古典音楽は北(ヒンドゥスターニー音楽)と南(カルナータカ音楽)の2系列に分かれた。14−15世紀にはイスラーム宮廷のもとで南アジアと西アジアの音楽の融合が行われ,シタールタブラーという今日北インドの中心的な楽器や,カッワーリーという音楽形式が生まれた。16−17世紀には,ドゥルパド声楽の形式)が発展する一方,宗教的な献身を歌うバジャン(声楽の形式)が多く残された。その後のイギリス統治下では西洋の影響は受けず,保守的に伝統が守られた。19世紀後半には,サロード奏者アッラーウッディーン・ハーンらが出現し,従来,声楽中心であったヒンドゥスターニー音楽における器楽の重要性を高めた。現在,声楽形式としてはカヤール,器楽形式としてはガットが最も人気がある。カルナータカ音楽に比べ作曲された部分が短く即興部分が長い。古典舞踊カタックの伴奏にも使われる。
→関連項目アーラープサーランギーシャーナーイバートカンデビーナー

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改訂新版 世界大百科事典 「ヒンドゥスターニー音楽」の意味・わかりやすい解説

ヒンドゥスターニー音楽 (ヒンドゥスターニーおんがく)

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世界大百科事典(旧版)内のヒンドゥスターニー音楽の言及

【インド音楽】より

…またターラに関する1章が別にもうけられ,詩の韻律を基礎として,その音節の長短を単位としたパターンによって,数十種のターラが分類されている。
[カルナータカ音楽とヒンドゥスターニー音楽]
 地理,風土,言語,歴史などの違いから,現代インドの古典音楽は,カルナータカ音楽(南インド)とヒンドゥスターニー音楽(北インド)とに大別されるが,実際の演奏は伴奏者を伴った独奏・独唱によるラーガの表現であることに変りはない。イスラム教徒侵入の影響によって,ガーンダルバの伝統はとだえたが,楽曲形式においては,侵入当初の13世紀に書かれた理論書《サンギータ・ラトナーカラ》(〈音楽の宝庫〉の意)にみられるアーラープティālāpti(即興演奏)の形式が,南北両派ともに踏襲されている。…

【パキスタン】より

…第1は,インダス流域の平野部を中心とする古典音楽と民俗音楽である。イスラムの北インド侵入によって,インド的要素と西アジア・イスラム的要素を融合させた北インド古典音楽,すなわちヒンドゥスターニー音楽の豊かな伝統は,第2次世界大戦後のインドから東・西パキスタンの分離,さらに東パキスタンが自立してバングラデシュとして分離して以来,パキスタンにおいてより純粋な形で継承されている。それはヒンドゥスターニーの古典音楽の著名なイスラム教徒の音楽家たちが,パキスタンに移住して活発な活動を開始したことと,パキスタン音楽の発展を担う行政をはじめとする支援の強化に起因している。…

※「ヒンドゥスターニー音楽」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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