ビアンキ(読み)びあんき(英語表記)Виталий Валентинович Бианки/Vitaliy Valentinovich Bianki

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ビアンキ」の意味・わかりやすい解説

ビアンキ
びあんき
Виталий Валентинович Бианки/Vitaliy Valentinovich Bianki
(1894―1959)

ロシアの動物児童文学者。サンクト・ペテルブルグ自然科学者の家に生まれ、幼少から自然や動物に親しみ、観察眼を養う。ペテルブルグ大学で自然科学を専攻辺地への学術調査旅行や狩猟などで自然や動物の研究を深め、のち1923年から子供向けの雑誌に『森のおうち』(1924)以下続々と作品を発表。ほとんどが中・短編だが、森の四季なかでの動物の生活を中心にまとめた大作『森の新聞』(1928)はユニークな形式と豊富な内容で際だっている。ほかに『みなし子のムルズク』(1924)、『子ネズミのピーク』(1928)などがある。

[内田莉莎子]

『樹下節、タカクラ・タロー他訳『ビアンキ動物記』全22巻(1981・理論社)』『樹下節、タカクラ・タロー訳『ビアンキ動物記』全7巻(1968・理論社)』『樹下節・内田莉莎子他訳『ビアンキのこども動物記』全7巻(1969・理論社)』

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改訂新版 世界大百科事典 「ビアンキ」の意味・わかりやすい解説

ビアンキ
Vitalii Valentinovich Bianki
生没年:1894-1959

ソ連邦のおもに動物を扱った児童文学作家。ペテルブルグ生れ。鳥類学者の父の影響で幼時から自然観察に興味をもつ。ペテルブルグ大学で生物学を学び,各地に調査旅行や狩猟に出かけ動物の生態に精通。1923年から作品を発表しはじめ,《森のおうち》(1924),森の動物の四季のようすを伝える独特な形式と内容の代表作《森の新聞》(1928),《子ねずみのピーク》(1928)など低学年から青少年向けの中・短編を多数書いた。いずれも生物学的裏付けと自然への深い愛情に貫かれている。日本でも《ビアンキ動物記》22巻(1981)などで広く親しまれている。
執筆者:

ビアンキ
Michele Bianchi
生没年:1883-1930

イタリアのファシスト政治家。初め社会主義者として活動,革命的サンディカリストのグループに属した。第1次大戦に参戦を主張して革命行動ファッシに加わり,大戦後ムッソリーニに協力して戦闘ファッシの創設メンバーとなる。1921年ファシスト党の初代書記長となり,22年10月4首脳の1人としてローマ進軍を指揮する。ファシズム政権のもとでは諸種の政務次官を務めた。
執筆者:

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百科事典マイペディア 「ビアンキ」の意味・わかりやすい解説

ビアンキ

ロシアの児童文学作家。ペテルブルグ生れ。父は動物博物館に勤める鳥類学者で,狩猟好きでもあったため,ビアンキは幼いころから父とともに博物館や野外に出かけ,動物や植物の名前や特色を教わり,自然観察に興味を持った。ペテルブルグ大学で自然科学を専攻,各地に旅行や踏査,狩猟に出かけ,動物の生態に精通した。そうした経験に基づいて,動物を主人公にした約300篇の物語を執筆。いずれも正確な観察と深い理解に基づいた,質の高い作品で,《森のおうち》(1924年)をはじめ《子ねずみのピーク》《狩り物語》《最後の射撃》などのほか,森の動物のようすを春から冬まで12号にわたる新聞で報告するという独特の形式の代表作《森の新聞》(1928年)がある。日本でも《ビアンキ動物記》22巻(1981年)に多くの作品が収録されて広く親しまれている。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ビアンキ」の意味・わかりやすい解説

ビアンキ
Bianki, Vitalii Valentinovich

[生]1894.2.11. ペテルブルグ
[没]1959.6.10. レニングラード
ソ連の児童文学者。生物学者の子として生れ,ペトログラード大学の物理数学部を卒業後,1923年文筆活動に入った。彼の中短編小説は,獣,小鳥,昆虫などが擬人化されて登場し,子供たちの心に自然の神秘への限りない興味と想像を呼起す。『森の新聞』 Lesnaya gazeta na kazhdyi got (1928) はロシアの森の生きた百科事典となっている。ほかに『小ねずみピーク』 Myshonok Pik (28) ,『うさぎの策略』 Zayach'i khitrosti (41) など。

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知恵蔵mini 「ビアンキ」の解説

ビアンキ

イタリアの自転車製造メーカー。1885年、エドアルド・ビアンキがイタリア・ミラノに自転車店を開いたのを創業とし、86年には「セーフティ型」と呼ばれる前後の車輪径が同じ自転車の販売を始めた。現存する中では世界最古の自転車メーカーであり、チェレステという緑色に近い青色で塗装されているのが特徴。同社製の自転車はロードレースで輝かしい成績を残しており、2013年現在に至るまで自転車のトップメーカーの一つであり続けている。

(2013-3-28)

出典 朝日新聞出版知恵蔵miniについて 情報

世界大百科事典(旧版)内のビアンキの言及

【ダンテ】より

…当時の北イタリアはローマの教皇庁と神聖ローマ皇帝とのはざまにあって,自治都市はゲルフ(教皇派)とギベリン(皇帝派)とに分かれ,相克を繰り返していた。フィレンツェではゲルフが政権を掌握していたが,さらにこれが自立政策をかかげるビアンキ(白党)と商業上の利益から教皇と強く結びつくネーリ(黒党)とに分裂し,市の名門チェッキ家(白党)とドナーティ家(黒党)との争いも加わって,熾烈(しれつ)な政争の場となっていた。ダンテは,いわゆる正義の法令(1293)により,貴族が公職につくことを制限されていたのが緩和されると,名目上は医薬業組合に加入し,1295年から市行政の公務につき,96年から97年にかけてシニョリーア直属の百人委員会の一員となり,1300年にはプリオーレにまで指名された(シニョリーア制)。…

【児童文学】より

…民話への指向はマブリナT.Mavrinaにもうけつがれている。自然を扱う作家にはM.M.プリーシビン,V.V.ビアンキがおり,幼年ものではミハルコフS.V.Mikhalkovがすぐれ,ノンフィクションのM.イリインは国際的に評価された。
[フランス]
 ペローの古典を幕開けとして,歴史は長いが実質がふるわないのは,この国の教育が子ども時代の固有な点を受け入れないせいであろうか。…

※「ビアンキ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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