ビスマス剤(読み)ビスマスざい

精選版 日本国語大辞典 「ビスマス剤」の意味・読み・例文・類語

ビスマス‐ざい【ビスマス剤】

〘名〙 ビスマス化合物次硝酸ビスマス・次サリチル酸ビスマス・次没食子酸ビスマスなどを医薬品として用いたものをいう。白色または黄色粉末で、収斂防腐・保護剤として胃潰瘍下痢治療に用いたり、筋肉注射により梅毒の治療に用いたりする。蒼鉛剤。〔薬の効用(1964)〕

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「ビスマス剤」の意味・読み・例文・類語

ビスマス‐ざい【ビスマス剤】

医療用のビスマス化合物。次硝酸ビスマス、次炭酸ビスマスなどがあり、かつて梅毒、胃潰瘍、下痢の治療に用いられたが、現在はほとんど使用されない。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ビスマス剤」の意味・わかりやすい解説

ビスマス剤
びすますざい

医薬品に用いられるビスマス化合物で、次硝酸ビスマス、次炭酸ビスマス、次サリチル酸ビスマス、次没食子酸ビスマスの4種がある。ビスマス塩は収斂(しゅうれん)作用をもち、次サリチル酸ビスマスは筋肉注射用注射剤として梅毒の治療に用いられたことがあるが、現在はまったく使われていない。次硝酸ビスマスと次炭酸ビスマスは、いずれも白色の粉末で、その収斂、粘膜保護作用、また腸内異常発酵によって生じた硫化水素を結合して除去することから、胃腸カタル胃痛、下痢のほか、胃潰瘍(かいよう)などに内服で用いられた。次没食子酸ビスマスは黄色の粉末で、デルマトールともよばれ、収斂、防腐、粘膜保護剤として外傷や熱傷(やけど)などに散布剤として用いられたが、現在はほとんど使用されなくなった。

 ビスマス剤は止痢剤として繁用されたが、オーストラリアやフランスで大量投与により精神神経症状を呈した例が報告され、一般医薬品としての使用が禁止された。

[幸保文治]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

脂質異常症治療薬

血液中の脂質(トリグリセリド、コレステロールなど)濃度が基準値の範囲内にない状態(脂質異常症)に対し用いられる薬剤。スタチン(HMG-CoA還元酵素阻害薬)、PCSK9阻害薬、MTP阻害薬、レジン(陰...

脂質異常症治療薬の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android