ビヨウヤナギ(読み)びようやなぎ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ビヨウヤナギ」の意味・わかりやすい解説

ビヨウヤナギ
びようやなぎ / 美容柳
[学] Hypericum monogynum L.
Hypericum chinense L. var. salicifolia (Sieb. et Zucc.) Choisy

オトギリソウ科(APG分類:オトギリソウ科)の半常緑低木。茎は株立ちとなり、高さ約1メートル。葉は葉柄がなくて対生し、長楕円(ちょうだえん)状披針(ひしん)形で、長さ5~8センチメートル、全縁で先は丸みを帯びる。葉質はやや薄く、表面は鮮緑色で、裏面は緑白色、透かしてみると透明な細点が密にある。6~7月、枝先に集散花序をつくり、黄色で径約6センチメートルの5弁花を開く。花弁は広倒卵形、基部は細まる。雄しべ多数が5群に分かれてつく。花糸は黄金色で細長く、花弁の長さとほぼ同じである。雌しべの花柱も長く、先は5裂する。蒴果(さくか)は円錐(えんすい)形で長さ約7ミリメートル、9~10月に熟す。中国中南部原産。名は、花が美しく、葉が細いことをヤナギになぞらえたものといわれる。日本では『花譜』(貝原益軒(かいばらえきけん)著、1694)に初めて載り、庭木、いけ花に用いる。繁殖は実生(みしょう)、挿木株分けによる。

小林義雄 2020年7月21日]


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百科事典マイペディア 「ビヨウヤナギ」の意味・わかりやすい解説

ビヨウヤナギ

中国産のオトギリソウ科の小低木未央柳。庭木,切花用。高さ1m内外になり,長楕円状披針形の柄のない葉を対生,冬は半ば落葉する。夏,枝先に集散花序をつけ,径4〜5cmの黄色の5弁花を開く。花弁とほぼ同長の黄色のおしべが多数ある。春,株分けやさし木でふやす。

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世界大百科事典(旧版)内のビヨウヤナギの言及

【キンシバイ(金糸梅)】より

…切花として用いられ,株分け,挿木によって繁殖させる。ビヨウヤナギH.chinense L.var.salicifolia (Sieb.et Zucc.) Choisyも中国原産で,庭に栽培される。葉は狭長楕円形,夏に咲く花は黄色で直径4~6cmに達する。…

※「ビヨウヤナギ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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