日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
ピサーノ(Nicola Pisano)
ぴさーの
Nicola Pisano
(1210/15―78/84)
イタリアの彫刻家。南イタリアのアプリア出身と推定されるが、1260年にピサ洗礼堂に説教壇を制作する以前の経歴はほとんど不明である。この説教壇の浮彫りは洗礼堂の近くにあるカンポサント(墓室)に残る古代の石棺の浮彫りに手法が類似しているため、ニコラが新しいキリスト教美術の創造に、後期ローマ彫刻の写実的表現を活用したものと考えられている。1265~68年には、弟子のアルノルフォ・ディ・カンビオや息子ジョバンニ・ピサーノの協力を得てシエナ大聖堂の説教壇を制作し、さらに78年にはペルージアの大聖堂広場に大噴水盤を完成した。ボローニャのサン・ドメニコ聖堂にある聖ドミニクスの墓碑(1265~67)もニコラの工房の制作とみなされている。
[濱谷勝也]
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