ピューマ(英語表記)puma
Felis concolor

デジタル大辞泉 「ピューマ」の意味・読み・例文・類語

ピューマ(puma)

ネコ科哺乳類。体長1~1.9メートル、尾長60~80センチ。体は灰褐色ないし赤褐色で斑点はないが、幼獣には黒斑がある。単独で生活し、シカや小動物を捕食。南北アメリカ大陸に分布。アメリカライオンクーガー
[類語]獅子ライオン猛虎ジャガーチーター

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精選版 日本国語大辞典 「ピューマ」の意味・読み・例文・類語

ピューマ

〘名〙 (puma 元来は、ケチュア語) ネコ科の哺乳類。体長は雄一・一~二・〇メートル、雌はやや小さい。ヒョウと同じくらいの大きさ。外形はライオンの雌に似るが、頭が比較的小さく、後肢が長く、尾の先に毛の房がない。体色は変異にとみ、灰褐色、赤褐色から黒色のものまであり、斑紋はなく、ほおに黒斑がある。南北アメリカに分布。森林・川辺・草原にすみ、木登りと泳ぎが巧みで、シカ・ウサギのほかウマなども捕食するが、人を襲うことはほとんどない。クーガー。パンサーマウンテン‐ライオン。アメリカ‐ライオン。〔舶来語便覧(1912)〕

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改訂新版 世界大百科事典 「ピューマ」の意味・わかりやすい解説

ピューマ
puma
Felis concolor

雌ライオンに似た食肉目ネコ科の哺乳類。mountain lion,cougar,pantherの英名もある。北アメリカのカナダ西部から南アメリカのパタゴニアまで広く分布。雄は体長105~196cm,尾長66~79cm,体重67~103kg,雌は体長96~152cm,尾長53~82cm,体重36~60kg。肩高60~70cmほど。体の大きさ,体色などに地理的変異が多く,30の亜種に分けられる。一見雌ライオンに似るが体は細く,四肢のうちとくに後肢が長く,尾先に毛房(けぶさ)を欠き,頭部は小さく口吻(こうふん)部に黒斑がある。体毛は短く,黄褐色がふつうで,銀灰色から赤褐色まであり,黒色型も存在する。

 環境に対する適応力が強く,寒帯の針葉樹林から熱帯雨林,砂漠,草原,高山まで生息する。単独で,日中も夜間も活動し,茂み,岩の割れ目,岩穴などで休息する。1頭で40~650km2の行動圏をもち,獲物を追って1日に50~80kmも歩くことがある。視覚が非常によく発達し,聴覚も優れるが嗅覚(きゆうかく)はそれほど発達していない。木によく登り,泳ぎもうまい。跳躍力に優れ,ひと跳びで幅6m,ときに12mを超え,高さ5.5mも跳び上がり,18mの高さから地上に跳び降りることができるという。狩りは忍び寄りによって行い,獲物の背にとび乗ると頭やしりを前肢で押さえ込み,のどをひとかみして殺す。自重の3倍までの獲物を運ぶことができ,食べ残すと土や枯れ葉をかけて隠す。主食はシカ類で,食物の50~70%を占めるが,ネズミ,キノボリヤマアラシ,ノウサギからヘラジカもとらえ,オオカミや若いヒグマとも闘う。飢えるとヒツジなどの家畜を襲うためきらわれる。

 繁殖期は地域によってさまざまだが,北アメリカでは春に交尾し,夏に出産することが多い。妊娠期間は90~96日で,雌は安全な岩穴などにコケや落葉を敷き巣穴とし,1産1~6子,ふつう3~4子を産む。子は300g前後で,目は10日ほどで開く。子の体には黒斑があり,6ヵ月ほどで消える。寿命は飼育下で19年以上の記録がある。各地で減少しつつあり,カナダ東部の1亜種ヒガシピューマ(ペンシルベニアピューマ)F.c.couguarは約25頭,亜種フロリダピューマF.c.coryiは150~300頭が残存するのみである。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ピューマ」の意味・わかりやすい解説

ピューマ
ぴゅーま
puma
cougar
American lion
[学] Puma concolor

哺乳(ほにゅう)綱食肉目ネコ科の動物。アメリカライオン、クーガーともいう。カナダ西部から南アメリカ南端まで分布し、平地から高山に至る砂漠、岩地、草原、森林など、ほとんどの地域に生息する。体長1.1~1.6メートル、尾長60~85センチメートル、体重30~120キログラム。大きさと体色は変化に富み、普通は黄褐色であるが、黒色から褐色、灰色までまれにみられる。成獣の体は単色で耳と尾の先端が黒色であるが、幼獣には暗色をした大きな斑紋(はんもん)が体にある。単独で生活し早朝と日没後によく活動する。泳ぎや木登りもうまいが地上生で、シカを主食とし、北アメリカでは全食物の50~70%がシカである。ほかにビーバーやヤマアラシ、ときにヒツジやウマなどを襲う。縄張り(テリトリー)は雄で9~50平方キロメートル、雌で5~20平方キロメートルで、雄どうしの縄張りは重ならず、1頭の雄の縄張りは1頭以上の雌のものと重なり合うという。繁殖期は一定でないが、北アメリカではほとんどの子は夏に生まれる。妊娠期間は92~96日で、雌は岩の間などの巣で1産2~4子、ときに6子を産む。子は体長25~30センチメートル、体重400~500グラムで、約5週間乳を飲む。雌親はノウサギやリスを運んでくるようになり、普通、1年間は子とともに過ごす。寿命は飼育下で19年。

[今泉忠明]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ピューマ」の意味・わかりやすい解説

ピューマ
Puma concolor; puma; cougar; mountain lion

食肉目ネコ科。体長1~2m,尾長 50~80cm,体重は雄 100kg,雌 60kgに達する。肢は比較的太い。体は黄褐色であるが色彩に変異が多い。幼獣には黒色斑がある。広い行動圏をもち,一夜に 40kmも歩くといわれる。木登りも泳ぎもうまい。小~大型の草食獣を捕食するが,魚なども食べる。ヒトを襲うことはほとんどない。カナダ,南・北アメリカに分布し,低地から標高 3000mまでの森林地帯または沼沢地にすむ。

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百科事典マイペディア 「ピューマ」の意味・わかりやすい解説

ピューマ

アメリカライオン,クーガー,パンサーとも。食肉目ネコ科の哺乳(ほにゅう)類。体長105〜196cm,尾67〜78cm。灰褐色〜黒色まで変異に富む。カナダ南部,アメリカ北東部〜パタゴニアに分布。多く山地の森林やステップにすむ。木登りが巧みで,樹上からシカ,ウサギ,小型齧歯(げっし)類などにとびかかり捕らえる。1腹3〜4子。ときに馬や牛を襲うこともある。

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世界大百科事典(旧版)内のピューマの言及

【ネコ(猫)】より

…【村下 重夫】。。…

【ネコ(猫)】より

…殺した獲物は近くの安全な茂みに運び込み,そこで食べるが,通常は毛や羽毛は食べない。食べ残すと,ヒョウはしばしば樹上に運び上げ保存するが,多くのものはピューマF.concolorのように木の葉や枝をかけておく。そして,近くの樹上,樹洞,岩穴,岩の割れ目,他の動物が捨てた土穴,あるいは茂みなどの休息場から,毎日食べに通ってくる。…

※「ピューマ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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