ピーターグライムズ(英語表記)Peter Grimes

改訂新版 世界大百科事典 「ピーターグライムズ」の意味・わかりやすい解説

ピーター・グライムズ
Peter Grimes

イギリスの作曲家ブリテンオペラ(作品33)。詩人クラッブ長詩《自治村》(1810)の第22編を劇作家M.スレーターが台本化した。プロローグと3幕。漁夫ピーター・グライムズはいとこの死について村人たちから疑いをかけられ,ついに海に出て死ぬ。第2次大戦末期の1944年から45年にかけて作曲され,45年6月ロンドンで初演された。音楽によって海の静けさと嵐を生き生きと描き,また登場人物の心理的葛藤を巧みに表現する。48年までに8ヵ国語に翻訳されて115回上演されたという驚異的な記録をもつ。日本初演は56年,二期会(指揮,森正)により東京で行われた。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のピーターグライムズの言及

【オペラ】より

…より歌唱的ではあるが,イタリアのマリピエロによる《夜間飛行》も,同時期の十二音の技法による作品である。なお,両大戦間の時期に,アメリカでは黒人霊歌とジャズの語法を取り入れたガーシュウィンの《ポーギーとベス》が成功を博し,イギリスでは折衷主義的な作風ながら劇的効果にすぐれたブリテンの《ピーター・グライムズ》が現れた。 第2次大戦以後のオペラは,新しい作風の展開という点からいえば必ずしも豊かではない。…

【クラッブ】より

…代表作《自治村The Borough》(1810)は24編の〈書簡〉から成り,故郷オールドバラの人々の生活を描出した。E.B.ブリテンのオペラ《ピーター・グライムズ》(1945初演)は第22編に拠ったものである。詩作としてほかに《物語集》(1812),《邸の物語集》(1819)などがある。…

【ブリテン】より

…指揮者クーセビツキーからオペラ作曲の委嘱をうけて帰国したブリテンは作曲に没頭。45年6月オペラ《ピーター・グライムズ》がロンドンで初演され圧倒的な成功を博した。このオペラは各国語に翻訳・上演され,イギリスのオペラとして初めて国際的な名声を得た。…

※「ピーターグライムズ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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