ファンホントルスト(英語表記)Gerrit van Honthorst

改訂新版 世界大百科事典 「ファンホントルスト」の意味・わかりやすい解説

ファン・ホントルスト
Gerrit van Honthorst
生没年:1590-1656

オランダ画家テルブリュッヘンと並ぶ〈ユトレヒトカラバッジョ主義者〉の中心的存在。ブルマールトA.Bloemaertに師事ののち1610年ころから20年までローマに滞在し,カラバッジョの自然主義の影響を受け,ろうそくの光による強烈な明暗を見せる人物を題材にした一連夜景で独自の画風を確立した。しかし30年代後半にハーグ宮廷に重用されてからは,ルーベンスやファン・デイク風の肖像画神話画に転向している。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のファンホントルストの言及

【オランダ美術】より

…もちろんだからといってオランダが国際的な潮流とまったく無縁だったわけではない。ユトレヒトでは1610‐20年代にテルブリュッヘン,ファン・ホントルストらのイタリア帰りの画家がカラバッジョ様式を移植して大胆な明暗法によって広範な影響を残し,アムステルダムではエルスハイマーの影響から出発したラストマン一派が物語性を重視した聖書や神話の主題の明快な表現によってレンブラントをはぐくむ土壌を準備した。しかし大多数の市民たちは,特別の知識がなくても素直に享受できる親しみやすい画題を好んだため,15世紀以来ネーデルラント絵画の中で副次的な部分ながら魅力ある役割を演じてきた風景,静物,建築,風俗がそれぞれ自立して分野を形成し,肖像と並んで絵画制作の主流の位置を占めるにいたる。…

※「ファンホントルスト」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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