フィラメント(英語表記)filament

翻訳|filament

デジタル大辞泉 「フィラメント」の意味・読み・例文・類語

フィラメント(filament)

電球の発熱線条や、電子管の直熱陰極。ふつう、タングステンを用いる。
連続した長い繊維。→ステープルファイバー
三次元プリンターで射出される合成樹脂リールに巻かれた繊維状のABS樹脂またはポリ乳酸などからなる。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「フィラメント」の意味・読み・例文・類語

フィラメント

〘名〙 (filament)
① 電球、真空管などに用いられる発熱体。タングステンを用いることが多い。〔音引正解近代新用語辞典(1928)〕
天然繊維化学繊維などで長い繊維をいう。ステープルファイバーに対する語。〔化学繊維(1951)〕

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

改訂新版 世界大百科事典 「フィラメント」の意味・わかりやすい解説

フィラメント
filament

白熱電球の発光部として熱放射を起こす部分。高融点で蒸気圧が低く,かつ適当な電気抵抗値を有して可視領域で十分な放射が発生しなければならない。同時に線引き加工ができ,機械的強度ももつ必要がある。初期の白熱電球では白金炭素が用いられたが,現在ではもっぱらタングステンが使用され,高温でのフィラメントの変形を防止するため微量のAl2O3,SiO2,K2Oが添加されている。そして,タングステンの蒸発を抑制するために電球内に不活性ガスが封入されているが,封入ガスの対流によるフィラメント温度の低下を防止するために,フィラメントとガスの接触面をできるだけ少なくした二重コイル(一度巻いたフィラメントをもう一度巻く)が使われている。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「フィラメント」の意味・わかりやすい解説

フィラメント
ふぃらめんと
filament

連続したきわめて長い繊維をさし、日本では繊維素系の繊維と合成繊維を通じて、長繊維のものをフィラメントとしている。生糸・人絹・ナイロンなどの紡出した繊維は、無限に近い長さの糸が得られるが、この単繊維をさしてフィラメントとよんでいる。人絹糸の場合では、この単繊維1本からなるものをモノフィラメントmonofilamentまたは略してモノフィルmonofilとよび、普通品より細い繊度(繊維の太さ)の単繊維を使って単繊維と同じ繊度にしたものをマルチフィラメントmultifilamentまたは略してマルチmultiとよんでいる。紡出に際しての繊度は、用途によってまちまちであるが、一般に3デニールから20デニールぐらいのものが多い。これを編物用・織物用原糸とするときは、そのままリールにとり、未処理のまま使用することもあるが、それに適した熱処理などを施し、羊毛のように加工(テックスチャード・ヤーン)して使用する。

[角山幸洋]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

百科事典マイペディア 「フィラメント」の意味・わかりやすい解説

フィラメント

線条とも。電球,真空管などの発熱部を構成する金属の細線。通電により発熱状態となり,発する光や熱電子利用。電球ではタングステンコイルが使われ,熱損失が少なくて効率のよい二重コイルフィラメントは1927年三浦順一が発明。→熱陰極
→関連項目赤外線電球タングステン電球点灯管投光器

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

化学辞典 第2版 「フィラメント」の解説

フィラメント
フィラメント
filament

天然繊維には,絹のように1個の繭が1本の繊維でできているような連続したきわめて長い繊維からなるものと,綿のように短い繊維からなるものとがある.前者をフィラメントといい,後者を短繊維(ステープル)という.化学繊維では紡糸してフィラメントをつくるのが,最初の工程である.また,フィラメントからなる糸をフィラメント糸という.これは短繊維を紡績した紡績糸に対比するものである.1本のフィラメントからなるものをモノフィラメント,多数のフィラメントからなるものをマルチフィラメントという.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「フィラメント」の意味・わかりやすい解説

フィラメント
filament

電球や電子管の中で,電流を流し,光や熱電子を放出する細い金属線。タングステンやニッケルが用いられる。

フィラメント

長繊維」のページをご覧ください。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のフィラメントの言及

【おしべ(雄蕊)】より

…〈ゆうずい〉ともいう。種子植物の花を構成する要素のうちの雄性器官で,花粉を入れる葯anther(小胞子囊)とそれを支える花糸filament(小胞子葉)からなる。異型胞子性シダ植物群の小胞子葉と形態的に相同である。…

【触腕】より

…ユウレイイカなどでは触腕の柄部および掌部先端に発光器をもっていて,これを擬餌のように用いるものと思われる。なおコウモリダコにみられる触糸filamentはイカ類の触腕とは相同器官ではない。【奥谷 喬司】。…

※「フィラメント」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android