フェルナンデス(英語表記)Ramon Fernandez

改訂新版 世界大百科事典 「フェルナンデス」の意味・わかりやすい解説

フェルナンデス
Ramon Fernandez
生没年:1894-1944

フランスの批評家。1923年に《NRF(エヌエルエフ)》誌に登場,以後同誌を代表する批評家の一人として活躍した。その立場は評論集《メッセージ》(1926)にうかがわれる哲学批評であって,文学作品の底にひそむ形而上学の解明をその特徴とした。彼自身第1次大戦後の不安の世代に属するだけに,34年のスタビスキー事件に端を発した2月6日事件直後に有名な《アンドレ・ジッドへの公開状》を発表して共産党に入党したが,まもなく幻滅して脱党,極右のフランス人民党に加盟し,第2次大戦のドイツによる占領中は進んでドイツ軍に協力した。作品としてほかに,《人格について》(1928),小説《賭》(1932。フェミナ賞受賞)がある。
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フェルナンデス
Gregorio Fernández
生没年:1576ころ-1636

スペイン彫刻家。エルナンデスHernándezともいう。ガリシアに生まれ,バリャドリードで没。カスティリャ派バロック彫刻の総帥。反宗教改革の時代にあって,彼の木造賦彩の宗教彫刻は一世を風靡し,その影響は1700年ごろまで続きポルトガルにも及んだ。自然主義的な人体表現と鋭角的な衣紋を組み合わせた神秘主義的な作風を見せ,数多くの祭壇ついたてや聖人像,宗教行列用の受難像を刻んだ。《横臥するキリスト》《ピエタ》などの作品がある。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「フェルナンデス」の意味・わかりやすい解説

フェルナンデス
Fernandez,Dominique

[生]1929.8.25. パリ
フランスの作家。イタリア文学を専攻。大学で教鞭をとりながら,精神分析の手法を駆使し,物語性への回帰といわれる小説,評論を発表。 18世紀ナポリの去勢した歌手を描いた『ポルポリーノ』 Porporino ou les Mistères de Naples (1974) でメディシス賞,P.P.パゾリーニをモデルにした『天使の手のなかで』 Dans la main de l'ange (82) でゴンクール賞を受賞。同性愛者であることを公言し,『除け者の栄光』 La Gloire du paria (87) ではエイズ AIDSを主題に取上げている。評論集に『木,その根まで』L'Arbre jusqu'aux racines (72) など。

フェルナンデス
Fernandez, Royes

[生]1929.8.15. ニューオーリンズ
[没]1980.3.3. ニューヨーク
アメリカ舞踊家。 A.ダニロワ,A.マルコワらに学び,1946年ド・バジル・バレエでデビュー。マルコワ=ドーリン・バレエ団,アリシア・アロンソ・バレエ団,ミア・スラベンスカ・バレエ団などでソリストとして踊った。 57~73年アメリカン・バレエ・シアターの首席舞踊手をつとめ,その間ロンドン・フェスティバル・バレエ団や M.フォンティンの世界ツアーに客演した。

フェルナンデス
Fernandez, Emilio

[生]1904.3.26. エルセコ
[没]1986.8.6. メキシコシティー
メキシコの映画監督,俳優。メキシコ革命戦争に参加するが,渡米してアメリカ映画に出演。 1933年帰国し,41年から監督。 45年の『マリア・カンデラリア』 Maria Candelariaや 47年の『真珠』 La Perlaなどは国際的にも高く評価された。 50年代末からアメリカの西部劇にも出演,ユニークな脇役として活躍した。

フェルナンデス
Fernández(Hernández), Gregorio

[生]1576頃.サリア?
[没]1636.1.22. バリャドリド
スペインの彫刻家。 1605年頃よりバリャドリドで活躍。彩色を施すスペイン宗教彫刻の伝統にならい,写実主義を徹底させた作風で,スペインにおけるバロック的自然主義の最初の彫刻家に数えられる。主要作品はバリャドリドとプラセンシア大聖堂の祭壇装飾,『ピエタ』 (1617,バリャドリド美術館) ,『キリストの洗礼』 (30?) 。

フェルナンデス
Fernándes, Juan

[生]1525
[没]1567. 平戸
ポルトガルのイエズス会士。 F.ザビエルに随行して天文 18 (1549) 年薩摩に上陸。日本語が巧みな宣教師として活躍。

フェルナンデス

グアダルペ・ビクトリア」のページをご覧ください。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「フェルナンデス」の解説

フェルナンデス Fernandes, Joãn

1526-1567 ポルトガルの宣教師。
スペインのコルドバ生まれ。イエズス会士。天文(てんぶん)18年(1549)ザビエルの通訳をかねて来日,平戸,山口などで布教する。日本語にすぐれ,宗教書を翻訳,日本語の文法書,辞書をつくった。永禄(えいろく)10年5月20日平戸で死去。41歳。

出典 講談社デジタル版 日本人名大辞典+Plusについて 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内のフェルナンデスの言及

【スペイン美術】より

…こうした宗教彫刻が輝かしい成果を収めたのはマニエリスムとバロックの時代で,マニエリストとしては,きわめて表現主義的なA.ベルゲーテとJ.deフーニが傑出している。バロック時代に入るとカスティリャ派のG.フェルナンデスがマニエリスムの表現主義的傾向を継承発展させた。それに対して南部セビリャ派のマルティネス・モンタニェース,グラナダ派のA.カーノやP.deメーナが優雅なレアリスムを展開し,当時の民衆の素朴な信仰心にこたえたのである。…

【バロック美術】より

…リベラおよびスルバランは反宗教改革の内省的精神と真実な信仰の表白者である。彫刻においてもカスティリャのフェルナンデス,セビリャのマルティネス・モンタニェースは,彩色木彫によって情動的な〈哀しみのマリア像〉を作り,ベラスケスの弟子カーノもまた民衆にアピールする甘美でセンチメンタルな宗教像を作った。これらのスペインの彫刻は,民衆の熱烈な信仰のもっとも民俗的な表出である。…

※「フェルナンデス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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