フサヤスデ

改訂新版 世界大百科事典 「フサヤスデ」の意味・わかりやすい解説

フサヤスデ

倍脚綱(ヤスデ綱)フサヤスデ科Polyxenidaeに属する節足動物の総称尾端に特有の毛束を有しているのでこの名がある。微小なヤスデで体長3~4mm。体表は石灰質を含まないので軟らかい。頭には数個の単眼がある。胴は11~13節で,歩肢は13~17対。各胴節背板と側板に鱗片をもった有枝剛毛が群生し,全体は昆虫カツオブシムシ幼虫に酷似している。石下樹皮下に体表の剛毛を集めて固め,その巣の中に20個ぐらいの卵を数列に産む。数回の脱皮ののち,約1年で成体に達する。ヤスデ類一般のように驚いたときに体を丸めることはなく,また比較的乾いたところを好む性質がある。日本産はウスアカフサヤスデが土壌中にすむことが知られており,ほかに海浜特有のイソフサヤスデや,樹皮下特有のハイイロチビケフサヤスデがある。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「フサヤスデ」の意味・わかりやすい解説

フサヤスデ
ふさやすで / 総馬陸

節足動物門倍脚(ばいきゃく)綱フサヤスデ科Polyxenidaeに属する陸生動物の総称。体長3~4ミリメートルで、昆虫のカツオブシムシの幼虫に似ている。ほかのヤスデと異なり、外骨格には石灰質を含まないので体が軟らかい。頭と11胴節があり、鱗毛(りんもう)状の毛が密生し、尾端には総状の長い毛の束がある。歩肢13対。腐葉中や樹皮の裏などに群生し、夏季に雌は産卵した卵塊を自分の毛で覆う。寿命はほぼ2年。関東地方以南に分布、イソフサヤスデなどが知られている。

篠原圭三郎]

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