フジナデシコ(読み)ふじなでしこ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「フジナデシコ」の意味・わかりやすい解説

フジナデシコ
ふじなでしこ / 藤撫子
[学] Dianthus japonicus Thunb.

ナデシコ科(APG分類:ナデシコ科)の多年草。ハマナデシコ浜撫子)ともいう。茎は太く、直立して高さ20~60センチメートル。葉は長楕円(ちょうだえん)形で長さ4~8センチメートル、質は厚く光沢がある。夏から秋、茎頂に多くの紅紫色花を密生する。花径1~1.5センチメートル、花弁の先に小さな歯牙(しが)がある。本州から沖縄海岸に生えるほか、琵琶(びわ)湖岸にも知られる。中国にも分布するとされるが栽培品ともいわれている。名は、花色が藤(ふじ)色であるからといわれる。また別名は、本種が海浜生であることによる。

[三木栄二 2021年1月21日]

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百科事典マイペディア 「フジナデシコ」の意味・わかりやすい解説

フジナデシコ

ハマナデシコとも。ナデシコ科の多年草。本州〜沖縄,中国に分布し,ふつう海岸にはえる。茎は太く高さ30cm内外。葉は短柄があって対生し,卵形で厚く,光沢がある。6〜9月,茎頂に紅紫色で径1.2〜1.5cmの5弁花を密な集散状に開く。花弁は倒卵形で,先端に細歯がある。名は藤撫子で花色に由来
→関連項目海岸植物

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世界大百科事典(旧版)内のフジナデシコの言及

【ナデシコ(撫子)】より

…多くは多年草で,対生する葉は線形になり,陽地乾性的な環境によく適応している。日本にはカワラナデシコD.superbus L.var.longicalycinus (Maxim.) Williams(イラスト),シナノナデシコD.shinanensis Makino,フジナデシコD.japonicus Thunb.(イラスト),それにヒメハマナデシコD.kiusianus (Yatabe) Makinoの4種が自生している。カワラナデシコは明るい原野や河原に多いナデシコ科の多年草で,秋の七草の一つ。…

※「フジナデシコ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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