フズーリー(英語表記)Füzuli

改訂新版 世界大百科事典 「フズーリー」の意味・わかりやすい解説

フズーリー
Füzuli
生没年:?-1556

オスマン帝国詩人没年は1580年以降ともいわれる。イラクヒッラで生まれ,イラクで生涯を過ごした。スレイマン1世のバグダード征服をたたえる詩で名声を得たが,晩年は不遇であった。ペルシア語アラビア語でも詩作したが,トルコ語アゼルバイジャン方言による作品が最も優れる。代表作ライラとマジュヌーン》のほかトルコ民衆詩の系譜を引く抒情的な《詩集》がある。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「フズーリー」の意味・わかりやすい解説

フズーリー
Fuzûlî

[生]1494? ヒルレ
[没]1556. カルバラー
オスマン帝国の詩人。本名 Mehmed ibn Süleyman。生涯イラクに住んだ。アゼルバイジャン系のトルコ人で,古典派宮廷文学第一人者。 1534年スレイマン1世のバグダード征服に際して,帝に詩を献上して名声を得た。チャガタイ語文学者ナバーイーとペルシア詩から影響を受け,悲恋の詩『ライラーとマジュヌーン』 Leylâ ile Mecnûn (1848) はその好例主著『詩集』 Divân (38) はアゼルバイジャン語で書かれている。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「フズーリー」の意味・わかりやすい解説

フズーリー
ふずーりー
Fuzūlī
(1495?―1556)

トルコの詩人。オスマン帝国の最盛期スレイマン1世時代を代表する。本名はメフメトMehmet。バグダード近くのヒッラないしカルバラーで生まれ、生涯をイラク地方で過ごした。プラトニックな愛を主題とする叙情的な詩人として知られる。アラビア語、ペルシア語でも詩作を行ったが、アゼルバイジャン方言のトルコ語による『ライラーとマジュヌーン』『詩集』が代表作である。彼の詩は、トルコの宮廷文学の発達に大きく貢献したが、実生活では不遇であった。

[永田雄三]

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「フズーリー」の解説

フズーリー
Fuzūlī

?~1556頃

トルコ古典詩派の巨匠。イラクの生まれ。『ライラーとマジュヌーン』が代表作。詩は直截に心情をうたい,情熱的である。トルコのみならず,アゼルバイジャントルキスタンでも著名である。

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